吉田選手が行っていることは特殊なことではなく、一般のランナーも応用可能なスキルだと思います。この技術によって、潜在力のうち、たとえばふだん2割しか使えていなかったものが、その倍近くまで出せる可能性も十分あり得ると思います。ただし、トレーニングで潜在力そのものを高めるのが先決で、そのうえでこのスキルを使うのが本筋だと思います。
自律神経の中枢は脳の視床下部にあります。視床下部の働きの一つは、絶えず身体全体をモニターし、末梢から送られる様々なシグナルを受け止めて自律神経を調節することです。
吉田選手はレース中に自律神経の働きを意識しているわけではないようですが、上手に筋肉を脱力させることにより、結果的に自律神経のバランスを、潜在力を発揮させる上で適切なところにチューニングしているように思われます。 彼が実行している日常生活におけるストレッチは、単に身体を和らげるだけでなく、レース中の緊張時にうまく脱力するスキルに役立っているはずです。
自律神経の調節機能は高齢になるほど低下します。血糖値、血圧、心拍が不安定になるのはそのためです。それを考えると、吉田選手の方法論は高齢のランナーほど効果的かもしれません。
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本田学(ほんだ・まなぶ)
国立精神・神経医療研究センター神経研究所疾病研究第七部部長。フルマラソン自己ベストは3時間56分。川の道フットレース、100マイルベルリンの壁1周マラソンなど超ウルトラレースも完走。
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