名古屋ウィメンズを走る弓削田さん
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弓削田さん自身が再びサブスリーをするまでの道のりを振り返った。
22年の名古屋ウィメンズで2時間58分40秒を出したときは、まだ63歳でしょ。だから、このままサブスリーの力を維持しよう、できれば2時間55分くらいは出したいと思っていた。
でも、度重なる足のケガやコンディション不良、苦手な寒さで、うまくいかないのよ。もう、悔しくて、悔しくて。3回目の疲労骨折のときは、落ち込んだというより、何てバカなことをしちゃったんだろうと思ったわよ。自分に対する憤りのようなものかもしれない。
でも、もうサブスリーは無理とは一瞬たりとも思ったことはないわ。私が常に気持ちを前向きにできるのは、過去に、もっと苦しい思いをしたからよ。
教員になった当初、仕事のストレスと、いくら練習しても記録が伸びない悩みで、うつ病みたいになっちゃったのよ。円形脱毛症と十二指腸潰瘍になっちゃった。いま考えると、あのころは心が弱かったのかもしれない。
学校の夏休みに一週間、有給休暇を取って京都に一人旅に出たんだ。うつむいて哲学の道を歩いたり、天橋立を散策したり、鴨川のほとりのベンチに座ってボーッとしていたのを、覚えている。
そのとき気づいたのは、悩んでもマイナスにしかならない、何もプラスは生まれないということ。そう考えたら、悩んでなんていられなくなった。あのつらい過去があったから、ケガなんて何でもない、と思えるのよ。とにかく前に進むしかない。とてもつらい思いを1度、経験すると、人は強くなれる気がするね。
ケガで走れなくなるたびに考えたこと?やれることを探すのよ。できることはいくらでもある。走れない期間は、勤務校のウエイト室で器具も使って筋トレをしたり、フィットネスバイクを1時間以上こいだり、校内のプールでガンガン泳いだわ。
25年の神戸マラソンで3年8カ月ぶりにサブスリーを達成できたのは、まさに走行量を減らして疲労抜きに徹したことに他ならない。疲れ切った状態で無理ばかりしてきたのを改めたわ。やっと、それがわかったのよ。身体の声に耳を傾けることが、一番大事ね。
股関節やひざから「痛いよ」という声が聞こえたら、ウォーキングしたり、休む。走らない。そして鍼治療を受けたり、スーパー銭湯に行ったりして、身体のケアに徹底的に気を配る。
なぜ、まだサブスリーができるという自信を持てるのか?それは日々の練習からわかるのよ。たとえば、キロ3分50秒での1000m×10本のインターバルをやろうと思ったら、できた。それが自信につながる。自信を持って取り組んで、できるから、またそれが自信になる。
サブスリーは、「心・技・体」の3つがそろわないと達成できない。弓削田眞理子=「強気な心」と思われているかもしれないけれど、「心」だけで闇雲に走ったって、無理よ。「技」には「頭」も含まれる。頭がすごく重要よ。トレーニングプラン、レース戦略、コースや天候に合わせた対策。頭をフル回転させないと、結果は出ないわ。
これまでマスターズの世界記録を何度も更新してきたけれど、それより私がこだわるのは「サブスリー」よ。私にとってマラソンを走るということ=サブスリー。だって、サブスリーという言葉には、最高の特別感があるんだよ。
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