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RUNNET TRAIL

わくわく山走りリポート

  • 日本海を望む! 美しいトレイル「濃昼山道」を走る(北海道)
スタート前、本日の練習会参加者全員で。北海道トレイルランニングクラブは札幌近郊を中心に活動しています
スタート前、本日の練習会参加者全員で。
北海道トレイルランニングクラブは札幌近郊を中心に
活動しています

北海道トレイルランニングクラブでは、メインフィールドである石狩市の濃昼山道(ごきびるさんどう)で7月12日(土)に練習会を開催しました。石狩市は札幌の北側に隣接しており、日本海に面して、山と海に恵まれたエリアです。

アウトドア大国北海道でトレイルランニングを楽しむには、寒冷な気候から夏でも低体温症に見舞われたり、ヒグマと遭遇したりする危険性があるなど、安全に自然を楽しむための知識が欠かせません。実際、北海道のトレイルランナーの多くが山中での安全管理に不安を抱いており、美しいトレイルが数多くあるにもかかわらず、単独で大自然のトレイルを走ることに足踏みしているのが現状です。

こうした中、わがクラブの練習会では、初心者から上級者までそれぞれが互いに安全体制を確立しつつ、トレイルランニングを楽しんでいます。この日の練習会もクマよけの鈴やファーストエイドキットは必携とし、持っている人は、クマよけスプレー、ホイッスル、レスキューシートを装備して臨みました。

極上のトレイルが多数存在する北海道ですが、登山者の多い札幌市内の藻岩山(531m)などでは、無理な追い越しをするなどマナーに欠けるトレイルランナーが問題視されつつあります。わがクラブでは自然愛好家やハイカーとの共存を前提とし、山でのマナーに最大限配慮。メインフィールドである濃昼山道はハイカーが少なく、高低差も少なく走りやすいので、トレランを楽しむにはうってつけの場所なのです。

実は、今回の練習会の前週にはメンバーのボランティアで、8時間半もの時間をかけてコースの整備活動を行いました。草刈り機や作業用具を担いで10.5kmのトレイルに入るため、「トレランより厳しい…」とこぼす一幕も。とはいえ「とっても良いLSDトレーニング」と称して草刈り遊びを一日いっぱい楽しんだ精鋭たち。わがクラブには、トレイルを走り回るばかりではなく、フィールドそのものを愛し管理する意識の高いメンバーが集っています。

こうした努力のかいあって、練習会当日は走りやすく整備された美路を満喫。この山道を2往復すると、ハセツネの第2関門(42km地点)の給水ポイントまでを想定した上級者向けのトレーニングにもなります。練習会ではいつもまとまって走るのですが、この日は各自が山道入口にあるボードに記録を書き込む方式で、それぞれのペースで10.5kmの山道を走りました。
 途中で雨に見舞われたこともあり、この日2往復を達成したメンバーはいませんでしたが、帰りにウニ丼などおいしい食事(石狩市は海の幸の宝庫)もしっかり堪能して帰ってきました。

7月12日。本州はまだ梅雨ですが、北海道のこの時期は新緑が美しい!
7月12日。本州はまだ梅雨ですが、北海道のこの時期は
新緑が美しい!
練習会の前週に、コース整備のために集まってくれたメンバーたち。北海道トレイルランニングクラブでは、ただ走るだけでなくコースの整備活動も積極的に行っています
練習会の前週に、コース整備のために集まってくれた
メンバーたち。北海道トレイルランニングクラブでは、
ただ走るだけでなくコースの整備活動も積極的に
行っています

草刈機をも自在に操るトレイルランナーはかっこいい!
草刈機をも自在に操るトレイルランナーはかっこいい!
「濃昼山道」は幕末につくられた道で、荒れ果てた状態になっていたところ、有志の活動で9年前に美しいトレイルとなって復活。トレイルランナーのこういった整備活動も、この歴史的要路の維持に貢献している!
「濃昼山道」は幕末につくられた道で、荒れ果てた状態になっていたところ、有志の活動で9年前に美しいトレイルとなって復活。トレイルランナーのこういった整備活動も、この歴史的要路の維持に貢献している!
きれいになった峠
きれいになった峠
「濃昼山道」は日本海に面した10.5kmのワンウェイのシングルトラック。このとおり、きれいに整備された美しいコースです
「濃昼山道」は日本海に面した10.5kmのワンウェイの
シングルトラック。このとおり、きれいに整備された
美しいコースです
極上トレイルを駆ける!
極上トレイルを駆ける!
高低差がそれほどないため走りやすい。緑陰の中を気持ちよく走れます
高低差がそれほどないため走りやすい。緑陰の中を気持ちよく走れます
前方には日本海を望む! 海を見ながら走れる贅沢なコースです
前方には日本海を望む! 海を見ながら走れる贅沢な
コースです
濃昼峠では眼下に海が広がります(後方の山の向こうが海)。変化に富むのがこのコースの魅力!
濃昼峠では眼下に海が広がります(後方の山の向こうが海)。
変化に富むのがこのコースの魅力!
日本海に面している石狩市は、新鮮な魚介が豊富。走った後は「ウニ丼」をみんなでいただきました!
日本海に面している石狩市は、新鮮な魚介が豊富。
走った後は「ウニ丼」をみんなでいただきました!

今回のコース紹介

片道10.5kmのシングルトラック「濃昼山道(ごきびるさんどう)」

濃昼山道は、幕末期の安政年間に開削され、日本海に面した陸の孤島の村々を結んだかつての生活道路で、1971年に山道の沿岸側に国道231号線が開通したことで忘れ去られ、荒れ放題になっていた道を、地元の有志「濃昼山道保存会」がササ刈りなどを繰り返し、6年がかりで2005年秋に復活させたトレイルです。2013年6月からは、当クラブが北海道森林管理局と協定を交わし、トレイルの整備・パトロールを実施しています。

レースなどで本州のトレイルを訪れていますが、北海道に戻り、このトレイルを走ると、「やっぱ濃昼は最高!ヤッホー!」といつも大声で叫んでしまいます。多くの人で踏み固められ硬くなった土の上を走る感触とは違って、柔らかなホームフィールドに足を踏み入れたとたん、忘れていた足から全身に伝わる心地のいい刺激に、決まって気分が高揚し、目の前に広がるトレイルの曲線美に誘われるように、先に続くまだ見ぬ景色を追い求め、永遠に走り続けることができるかのような幻惑に陥ることもしばしばです。
どんなに大声で叫んでも、カタクリ、エゾエンゴサクの群落目当てのツアー客が訪れる春以外は、ハイカーは少なく、大自然を独り占めすることができる、トレイルランナーにとってはまさに夢のような世界が広がっています。

 コース最高標高は357mで、全体的にアップダウンはそれほどなく、上級ランナーなら全コースを休みなしで走りきることも可能で、スピードトレーニングにも最適です。また、コース中には、清流の渡渉、日本海を望む湾岸コースなど変化に富み、飽きることなく楽しめることから、このコースをフィールドにトレラン講習会が数回開催され、講師のトレラン界のビックネームからも絶賛をいただいています。
(代表・武田渉さん)

片道10.5kmのシングルトラック「濃昼山道(ごきびるさんどう)」

今回のチーム紹介

北海道トレイルランニングクラブ

2010年6月に発足し、今年で5年目。今や会員数98名のビッグクラブに成長しました。国内外のレースに参戦するメンバーも多く、それぞれがトレイルランナーとして活躍の幅を広げています。
ただ山を走るだけではなく、トレイル整備ボランティアやレスキュー講習会、地図読み講習会の開催などの活動を通し、自然保護やリスクマネジメントの面で社会貢献活動を展開する団体として一目置かれる存在にまで成長を遂げております。

練習会はメインフィールドである石狩市の濃昼山道や札幌近郊のトレイルをはじめ、羊蹄山4往復(4つの登山ルートを1昼夜で制覇)や、暑寒別岳縦走など、チャレンジングなものも企画しています。
10月26日には今年で3回目の開催となるトレイルレース「Gokibiru Trail 30K」を主催。トレイルランニングの健全な発展を目指し、限界集落でもある石狩市の濃昼地区にトレイルランナーを呼び込むなど、アウトドアスポーツを通した地域振興にも取り組んでいます。

2013ハセツネにて。メンバーの活躍は北海道にとどまりません。
2013ハセツネにて。メンバーの活躍は北海道にとどまりません。

北海道トレイルランニングクラブ
http://hokkaidotrailrunningclub.com/
http://blog.livedoor.jp/htrc/