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スタミナ、持久力アップに必要な栄養素とは?(PART3)

2021年4月21日

スタミナアップのために食事はどうとればよい? 具体的な方法やタイミングとは?

マラソン後半でもエネルギー切れを起こさない高いスタミナのある身体を作るためには、1日3食の食事はもちろん、トレーニング前後の食事から必要なエネルギー源や栄養素を補給することが大切です。
エネルギー源として欠かせない糖質や脂質はもちろんのこと、主に筋肉でエネルギーとして利用される必須アミノ酸(BCAA)、さらにエネルギー代謝をスムーズに促すビタミンB群が特に重要です。
質の高い持久的なトレーニングを行えるように、トレーニングを開始する時点で消化が完了し、走るために必要な栄養素が身体の隅々に行き渡っている状態を目指しましょう。

では、実際にランナーにとってどのような食事がオススメなのか、PART3、4では具体的な食事内容と効果的な摂取タイミングについてご紹介します。食事はトレーニングとセットで考えて摂ることも大事です!


「1日3食をバランスよく」が基本!

最も大切なことは、毎日3食の食事のバランスを整えていくこと。ランナーの場合、何もしていない人と比べて走るためにエネルギーを消費し、筋肉も酷使します。その分エネルギー量も必要な栄養素も多くなります。
1つの食品には様々な栄養素が含まれていますので、まずは一つの栄養素や一つの食材に偏ることなく、様々な食材から栄養素を摂取して、できるだけバランスを整えることが、スタミナアップにつながる食事のスタート地点です!

1回の食事は、主食と主菜、副菜①、副菜②(汁もの)、果物、乳製品が基本、毎食の食事でこれらをバランスよく摂りましょう。


主食【糖質(+食物繊維)】…ご飯・パン・麺
主菜【たんぱく質】…肉・魚・卵・大豆製品
副菜・汁物【ビタミン・ミネラル(+食物繊維)】…野菜・海藻・きのこ・いも
果物・乳製品【ビタミン・ミネラル】…果物・乳製品 ※1日2~3回(練習量により異なる)

ごはんやパン、麺などの主食は糖質を多く含みます。肝臓や筋肉に蓄えられるグリコーゲンの量は、食事から摂る糖質の量によって蓄えられる量も異なり、ごはんの量を減らしたり主食を抜いてしまうと、グリコーゲンの元になる材料が不足し、身体に蓄えられるグリコーゲンの量も少なくなります。スタミナアップのためには毎食の食事で主食をしっかりと摂り、必要な糖質の量を十分に確保することが大切です。

肉や魚、卵、大豆製品などの主菜(たんぱく質)も大切な栄養素です。一度に身体で効率よくタンパク質が合成するのにより適切なたんぱく質摂取量は約20g程度とされ、毎食の食事で欠かさず摂取する必要があります。さらにトレーニングが長時間にわたる場合は筋肉のタンパク質がより分解されやすくなります。摂取するたんぱく質の量が不足している状態だと、筋肉のタンパク質がより分解が促進されやすくなり、練習のパフォーマンスにも影響します。同じたんぱく質を多く含む食材でも、種類が違うとアミノ酸組成や多く含まれるその他の栄養素も異なるので(例えば豚肉は“ビタミンB1”、牛肉や鯖などの青魚は“鉄”が豊富といったように)、基本的には一つに偏らずに様々な食材から選ぶようにしましょう。

副菜や汁物、果物、乳製品から野菜やきのこ、海藻などを摂ることで、ビタミンやミネラル、食物繊維を摂取することができます。特にビタミンB群は、たんぱく質の補給源である肉や魚、たまご、大豆製品、乳製品などにも含まれていますが、ブロッコリーや小松菜、ほうれん草などの野菜や、きのこにも含まれます。

果物はキウイやいちご、柑橘類などを選べば抗酸化作用をもつビタミンCを多く摂取することができますし(ビタミンCはパプリカやブロッコリーなどの緑黄色野菜にも含まれています)、バナナやりんごなど糖質を多く含む果物を選べば糖質の摂取にもつながります。
また、乳製品はカルシウムなどのミネラルやビタミン、そしてたんぱく質も多く含まれています。

まずは主食・主菜・副菜・汁物や果物・乳製品を食事で揃えるようにして、さまざまな種類の食べものを摂り、ランナーとして必要なエネルギーや栄養素に不足のないようにすることが大切です。


ランナーに必要な食事量はどれくらい?

基本の食事スタイルが分かったら、次に大切なのは“食事の量”です。走るためのエネルギーに不足がないように、最低限必要な栄養素をしっかりと摂取しましょう。
まずは必要なエネルギー量がどれくらいなのか? を知るために「日本人の食事摂取基準」を参考にすると30~49歳の男性/女性の場合、運動習慣がある場合、男性で3,050kcal、女性で2,350kcalが1日に必要なエネルギー量が目安となります。エネルギー量に対しての食事量の目安量は、写真の量を1日で食べるイメージです。


日常的に1時間以上の持久的なトレーニングを行う30〜49歳男性、3,050kcalの場合
日常的に1時間以上の持久的なトレーニングを行う30〜49歳男性、3,050kcalの場合

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※参考文献
・2020年度スポーツ栄養学最新理論 寺田新 氏(市村出版)
・スポーツと健康の栄養学 下村吉治 氏(NAP Limited)
・スポーツトレーニングの基礎理論(西東社)
・日本人の食事摂取基準2020
・アスリートのための栄養・食事ガイド(第一出版)

糖質を上手に摂ると、理想とする パフォーマンスをより長く続けることができる!その方法とは?



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