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大会も「食べチョクTシャツ」で出走 35歳女性経営者がランニングで得たのは「強制的に考えることを手放す時間」

2026年7月21日
365日着用する食べチョクTシャツがトレードマークの株式会社ビビッドガーデン代表取締役社長・秋元里奈さん(写真/軍記ひろし)
365日着用する食べチョクTシャツがトレードマークの株式会社ビビッドガーデン代表取締役社長・秋元里奈さん(写真/軍記ひろし)

月刊ランナーズで好評連載中の「トップランナーのビジネス×ランニング」。企業の経営者や組織のトップに立つ人にランニング実践者は多く、そんな “トップランナー” にとって走ることはビジネスにどんな影響を与えているのかをインタビューする連載です。明日発売の9月号に登場するのは、こだわり食材や花の生産者のオンライン直売所『食べチョク』を運営する株式会社ビビッドガーデン代表取締役社長の秋元里奈さんです。25歳での起業から10年、経営者として常に事業のことを考え奔走する秋元さんがランニングを始めて得たのは「強制的に考えることを手放す時間」でした。




――起業されたのは10年前。どんなキッカケがあったのでしょうか。
「大学を出てIT企業に入ったのですが、25歳の時に実家に帰るタイミングがありました。実家は農家で私が中学生の頃に廃業したのですが、かつて整備されていた畑が荒れ果てているのを目にして、なんで農業をやめちゃったのかな、という思いが湧き起こりました。そこで農家さんを回ると、こだわったものを作っても高く売れないし、儲からないと。多くの農家さんが娘や息子たちには継がせたくないというのです。これではこの先、農業をやめる人が沢山でてしまう。そういう人たちを少しでも減らしたいと思ったのが原点です。そこで『色鮮やかな農地をもう一度』という思いを込めた、ビビッドガーデンを設立しました。生産者が消費者に直売できるオンラインプラットフォームの『食べチョク』がメインプロダクト。こだわって作った農産物には、付加価値をつけて高く売れるようにしました」

――約10年を振り返ると、どんなフェーズで成長してきたと言えるのでしょうか。
「最初の1年ほどで開発とリリースがあり、そこから3年くらいはほとんど売り上げがなかった辛い時期でした。大きな転換期が2020年のコロナ禍。どこよりも早く生産者支援を打ち出し、例えばイベントがなくなってカキが8000個余っているなどの情報を積極発信しました。また『応援消費』という当時は新しかったコンセプトも強く打ち出しました。普段の買い物をする場所をネットに変えるだけで支援になるということは、私たちがやりたい世界観とドンピシャ。メディア露出も増えました。売り先がなくなった生産者さんが直売を始めるケースも増加し、売る人と買う人が一気に増えました。コロナ禍の2年間で売り上げが128倍です。ここ数年は堅実成長を目指し、食べチョクは伸ばしつつ、元々掲げていた彩り豊かな農地を取り戻すところに向け、大規模農家の支援など複数の事業展開をしています」

――社長として大事にしている考えは。
「社員が数十人規模に拡大した21年、全体をマネジメントする経営者になるべく『経営者元年』と位置づけました。ただ、今は創業者が社内にいる強みを重視しています。キッカケはコロナ禍後、リモート会議を継続するかどうかを議論したことでした。結局フル出社にしたのですが、それは『私がそうしたいから』と反対意見を一蹴したから。このような根拠がない意思決定ができるのが創業者の強み。当時は社員が増えて、意思決定のスピードがとにかく遅くなった危機感もありました。もちろん経営者としてのマインドは必要ですが、創業者だけが使えるパワーや価値をどう最大化するかを、今は大事にしています」


今年3月の鹿児島マラソンは4時間24分24秒で完走(写真/本人提供)
今年3月の鹿児島マラソンは4時間24分24秒で完走(写真/本人提供)

朝に運動をすると元気になって体調が改善

――ランニングやトライアスロンはどんなキッカケで始めたのでしょうか。
「経営者元年と位置づけた21年ごろ、様々な事を権限委譲したので手を動かさない時間が生まれました。そこで仕事にもつながる趣味はないかと経営者の先輩に相談したところ、トライアスロンを勧められました。私は学生時代にテニスやバスケをやりましたが、対戦型のスポーツは勝っても負けても相手に気を使う。みんなで一つのゴールに向かうようなことをやりたかった私にぴったりでした」

――実際始めてどうでしたか。
「すごく良かったです。朝に運動をすると、疲れるのではなく元気になって体調が良くなりました。運動習慣のおかげでシンプルに体力もつきました。さらにトライアスロンは地方で大会があるので、その際に農家さんを回れるのも良かった。石川ののとじまトライアスロンの際は、運営側に知人のスイカ農家さんがいて、招待選手として呼んでもらいました。他の生産者さんも応援に来てくれて、すごく事業との親和性が高いと感じたのも、継続の大きな理由です(笑)」

――練習はいつしていますか?
「夜は会食があるので主に朝です。朝に運動をすると、時間を有意義に使えます。以前は寝ているだけだった時間を活用し、気持ちよく元気に動くと、非常に充実感があります」

――始めてから、物事の考え方や生活面などで変化したことは。
「メンタルが安定しました。事業のことを考え出すと思考が止まらず眠れないこともあったのですが、身体が疲れているのですぐ寝られます(笑)。それから、走っている時は辛くて何も考えられず頭が真っ白になります。普段は時間があるとつい仕事のことを考えてしまうのですが、強制的に考えることを手放す時間ができたことは、結果的に精神的な負担をかなり減らしてくれました」

――3月に鹿児島マラソンを走りました。
「鹿児島に縁があり、昨年、今年と2年連続で参加しました。フルに向けては仲間と30kmや40km走もやりました」

――走ることの楽しみは、どんなところでしょう。
「成長を実感できるところです。サボればその分走れなくなるし、逆に頑張って練習すればちゃんとタイムもついてくる。まだ初心者だからかもしれませんが、やればその分成長に直結するところがうれしいです」



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