社業と競技を両立しているサンベルクスの選手たち(写真/小野口健太)
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今年の男子長距離・マラソン界では「サンベルクス」の存在が目立っています。同社は東京都足立区に本社を置くスーパーマーケット企業で、元日のニューイヤー駅伝では途中まで2位をキープして過去最高の5位に入賞。2月の大阪マラソンでは吉田響選手が37kmまで首位を走り、東京マラソンでは市山翼選手が日本人3位に入りました。その強さの要因について、ランナーズ5月号に掲載した記事を一部編集して紹介します。
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サンベルクスは会社の幹部候補となる人材を採用するために、2014年に陸上部を立ち上げた。現在も選手たちの多くが経営企画部、精肉部、加工食品を扱うグロサリー部などに所属し、火水木土の週4日、午前8時から午後1時まで、1日5時間の短縮勤務で働いている。
選手の本格的な勧誘を始めたのは2020年からで、田中正直総監督は「将来の会社の幹部候補を」という目的に沿い、人間性を重視している。「どういう部署があり、この部署ではこういう業務に携わってもらうと包み隠さず話すようにしている。そうしないと入社後『こんなはずじゃなかった』と言われかねないから」。
合宿中や個人面談では、陸上部の活動費がいかに捻出されているかを重ねて説く。陸上部1期生でコーチも兼ねる山下侑哉選手は「従業員の皆さんが一つひとつの商品を売って10円、20円の利益を積み上げることで陸上部が活動できている」と感謝する。その認識が責任感や競技に取り組む姿勢、集中力につながっている。
経営トップの鈴木優喜朗専務が陸上部のGMを務め、田中総監督、上岡宏次監督と週1回ミーティングを重ね、迅速に問題解決を図っているのも特異な点だ。田中総監督は「こんなチームはほかにないと思う。物事を決めるスピードがウチの強み」と話す。
駅伝でも所属選手の自己ベスト平均は上位ではない。「それでも駅伝で結果を残せているのは、ウチが駅伝に全力を傾けているから」と田中総監督は言う。夏から東日本実業団駅伝に合わせた強化スケジュールを組み、故障者、体調不良の選手を出さないために細心の注意を払う。だからチームとしてベストの状態で駅伝を戦える。サンベルクスが短期間で躍進した裏には、社業を経験することで身につけた自己管理能力と、意思決定の早いチームマネジメント体制がある。
(文/吉田誠一)
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ランナーズ5月号ではさらに、
・サンベルクスが駅伝に力を入れる理由
・社業のキャリアアップと競技を両立できるシステム
・選手の給与モデル例
・働く選手の一日
・吉田響選手の人となり
などを紹介しています。ぜひご覧ください。
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