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伴走者と手で会話 米の盲ろうランナーが東京マラソン完走でシックススター獲得

2026年3月16日
ガイドランナーとレヒトさん(右)
ガイドランナーとレヒトさん(右)

3月1日の東京マラソンは3万7268人のランナーが完走。その中には、様々な困難に立ち向かって走っている人々もいました。盲ろう(視覚と聴覚に障害を持つ)ランナーで、今回大会でシックススターを獲得したアメリカのジェイミー・レヒトさん(60歳)。モンゴル代表としてパラリンピック出場経験を持つルハグヴァジャブ・ジャンバルさん(64歳)の2人を紹介します。


手を使って伴走者とコミュニケーションをとり、シックススター・フィニッシャーに

レヒトさんはラッシャー症候群のため生まれつき聴覚障害があり、さらに徐々に視力が失われていくという二重の障害を持っています。視力が低下し始めた14歳の時に「セラピー」として走り出しました。現在の視野は「トンネル状に約40%」で、日中の平坦な道なら1人で走れるそうですが、レースでは伴走者とともに走っています。

伴走者と走る際の主なコミュニケーションは「手」。手に触ってもらう指の形でサインを示したり、お互いに持つロープを引っ張ることでやり取りをすることもあるそうです。

今回の東京マラソンは6時間15分43秒で完走。「東京マラソンはよく組織されたイベントでした。ゴールへ向かう皇居周辺の雰囲気は圧巻でした。残り 5 km の地点で伴走者が『スイーパーに追い抜かれている』と説明し、私は残りの力を振り絞り、フィニッシュラインを駆け抜けました。完走できた自分を誇りに思います。記録には残っていませんが、シックススター・メダルを獲得した手話使用者の盲ろう者は、私が初めてではないかと思います。今後は南極マラソンに出場し、7 大陸すべてでマラソンを完走したいと思っています」


モンゴルのブラインドランナーの草分け的存在。バイクの信号音を頼りに走ったことも

ジャンバルさんは29歳の時に頭部外傷で視力を失いました。当時のモンゴルにはブラインドランナーが走る文化がなく、草分け的存在として走り出し、パラリンピックにも出場しました。海外のレースに参加する際は現地のガイドランナーとともに走ることもあったそうですが、2002年韓国・釜山のアジアパラ大会では4人のガイドランナーが誰も現れず、前を走るバイクからの信号音だけを頼りに走り、金メダルを獲得したといいます。「あれは本当に印象的だったよ」と振り返ります。

今回の東京マラソンは5時間36分7秒。「道は綺麗だし、人もフレンドリーだった。母国のランナーには『海外マラソンを走りたいならまず東京』と伝えたい」。今後は4月にロンドンマラソン、8月にはシドニーマラソンに出場予定。「目が見えなくても走ることはできると、若い障がい者たちに伝えたい。だから私は今も頑張っています」

フィニッシュ後のジャンバルさん(中央)
フィニッシュ後のジャンバルさん(中央)

※アボット・ワールドマラソンメジャーズのうち東京、ロンドン、ボストン、ベルリン、シカゴ、ニューヨーク・シティの6大会を完走したランナーには専用のメダルが贈られる。



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