ランナーズonline

日本の市民ランナーを速くした50年分のトレーニング② 小出義雄監督が走を語った『かけっこの職人芸』

2025年12月18日

現在発売中のランナーズ50周年記念号では、創刊からの50年間で登場した特徴的なトレーニングの数々を紹介する特集「日本の市民ランナーを速くした50年分のトレーニング」を掲載。その中から各年代で話題になったトレーニングを3回にわたってお届けします。

第2回は数々の名ランナーを育てた小出義雄監督のトレーニング論が語られた書籍『かけっこの職人芸』(1989年)から抜粋した内容を掲載します。


********


距離を走って刺激も入れる

小出監督が強調していたのは長い距離を走ること、そしてそれだけでなく刺激も入れることである。
「我々の頃はインターバル全盛期でした。ザトペックの真似をしてみんなが400mのインターバルをやってマラソンを走ろうとしていました。でも、これじゃ駄目ですね。そんな中、亡くなった円谷幸吉選手がなぜ強かったかというと、やっぱり長い距離を走っていましたね。君原健二選手もやっぱり長い距離を走っています。
ジョガーのみなさんがやっているのもたいてい長い距離を走れるような練習ですね。それはいいのですが、そればかりじゃ足りないんです。ジョガーの方を見ていると、たいてい、刺激が足りない。これは苦しいな、きついな、という場面を練習のなかで作り出すということです。インターバルトレーニングなどその典型ですが、坂道を勢いよく上るのもそうですし、思い切って下るのだって刺激になります。ビルドアップしていって、最後何分か追い切って走り抜いたり、というのもそうです。
刺激となる練習を週に2日は入れる必要があります。そして長い距離の練習も2日入れれば理想的です。長い距離は時間がかかりますから、仕事との兼ね合いで週末だけでも仕方ありません」


坂道でいい筋肉をつくる

小出監督は市民ランナー向けの短時間練習として坂を推奨していた。
「いい筋肉はいい負荷をかけることによって作られます。効率よく負荷をかけようと思うと、坂。上り坂も下り坂も、走る。特に時間を十分にとれない人にとっては、朝の練習というのがポイントになります。朝できない人は、昼休みです。30分、長くても1時間足らず。これだけでも、やるとやらないとでは大違いです。1日1回多く負荷をかければ、月に30回。年に360回。いい筋肉をつくることができます。
例えば、30分しか時間がとれないとしますね。アップ代わりに最初はゆっくり5分ぐらい走る。そしたら、いろんなやり方はありますけど、坂があれば、そこを全力でいく。100mから150mで十分です。そして下りをジョグして帰ってくる。行って帰ってで1分もあれば十分でしょう。そしてまた上りを全力で行く。これを20本やって20分です。最後はダウン代わりに5分ジョグして計30分になります。アップとダウンを入れれば5km近く走ったことになります。いい練習になります。
何も100mに限りません。400mだって1000mだっていい。大切なのは30分しかないから走らないとか、足慣らしのジョグだけにしておこうと諦めてしまわないことです。短い時間でも、負荷のかかる練習はできるわけです。それにより、いい筋肉をつくることができます」


********


ランナーズ50周年記念号(26年1月号)ではその他にも「信号待ちはジャンプの時間」「ヤッソ800」「金哲彦のサブスリー道場」など、これまでの50年で登場したトレーニングを計30紹介。ぜひご覧ください。



※こちらから記事検索ができます。

ランナーズ7月号 5月21日発売!


ロンドンで人類初の2時間切りが誕生!
「驚異的ペースアップの裏側」

4月26日に開催されたロンドンマラソンで、ケニアのセバスチャン・サウェ選手が1時間59分30秒をマークし人類初のフルマラソン2時間切りを達成しました。この記録が実現した背景について、筑波大学の鍋倉賢治先生が科学的見地から分析。今後の記録更新に向けての注目点についても言及しています。また瀬古利彦さん、藤原新さん、吉田響選手ら識者もコメントを寄せました。

第22回全日本マラソンランキング

2025年4月から2026年3月の1年間、日本国内で開催されたフルマラソンの各種データをまとめた「全日本マラソンランキング」。対象大会数は108大会で過去最多でした(前年度92大会)。メインのコンテンツの「フルマラソン1歳刻みランキング」は各年齢上位100位を掲載。本誌に掲載の、ランキングで誕生した記録やストーリーをピックアップする「偉大な記録からほんわかストーリーまで 全日本マラソンランキングトピックス×18」特集も合わせてお読みください。

週一スピード走は月間走行距離100km増と同効果!
& プレイバックRUNNERS Since1976「継続できるスピード走」

今年、ボストンマラソンの参加者(2022年)を対象にしたトレーニング調査の結果が報告されました。それは「レース記録は、走行距離に加え “スピード練習の回数” と強く関連している」というもの。この研究を踏まえて、兵庫県立大学の森寿仁先生が春先からスピード走を実践することの有効性を解説します。



本誌購入は年会費7,800円「ランナーズ+メンバーズ」がお勧め!

「ランナーズ+メンバーズ」は毎月最新号が自宅に届く(定期購読)だけでなく、「デジタルで最新号&2011年1月号以降が読み放題」「TATTAサタデーランが年間走り放題」「会員限定動画&コラム閲覧可」のサブスクリプションサービス! 年会費7,800円の超お得なプランです。



※こちらから記事検索ができます。

「ランナーズonline」 一覧に戻る