オリックス株式会社 取締役 兼 代表執行役社長・グループCOOの髙橋英丈さん。手にしているのは、1991年にオリックス・ブルーウェーブ(当時)に入団し2000年まで在籍したイチローさん(現マリナーズの会長付特別補佐兼インストラクター)のサイン入りバット(写真/小野口健太)
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月刊ランナーズで好評連載中の「トップランナーのビジネス×ランニング」。企業の経営者や組織のトップに立つ人にランニング実践者は多く、そんな “トップランナー” にとって走ることはビジネスにどんな影響を与えているのかをインタビューする連載です。発売中の11月号に登場するのは、オリックス株式会社 取締役 兼 代表執行役社長・グループCOOの髙橋英丈さんです。30代後半で走り始め、今年1月の社長兼グループCOO就任後もフルマラソンに出場。3時間23分38秒の自己ベストを持っています。
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――オリックスは多角的な経営をしていますが、グループとしてどのような企業なのか、簡単にご説明いただけますか。
「もともとは1964年に銀行や商社が設立した会社です。産業機器などのリース事業から始まり、徐々に金融サービス業を展開し、現在では大きく分けて金融と投資、事業の3分類に整理しています。まず、金融は、融資やリースなどの金融ビジネス。投資は、プライベートエクイティ投資や不動産開発投資など。事業では、自動車関連や不動産運営、再生可能エネルギー、球団の運営など、多岐にわたる事業を展開しています。主に金融で培ったノウハウを、投資や事業に活かすことで、多様な事業体がグループ内に形成されています」
――そんなグループ経営の中で大事にしていることは。
「それぞれの事業が全く関係がないということではなく、一体感を持って同じ方向へ向かうことが非常に重要だと思っています。今年1月に社長に就任してからは、特にグループ内の連携、協業を今一度推進するように言っています」
――61年の会社の歴史の中で33年在籍され、成長の過程をどのように見てこられましたか。
「初任地が札幌支店で法人営業を5年。さらに東京の神田で2年。その後、30代以降はオリックスが新しく手掛けた事業を渡り歩いてきました。不動産ファイナンスやプライベートエクイティ投資、環境エネルギーなどですが、それらは一定の事業規模になっています。祖業のビジネスから徐々に遠ざかり、新しい事業に携わってきました。そういう意味では会社と共に成し、会社の変化を体現したようにも感じます」
――そんなキャリアを積まれる中、ランニングはいつ頃始められたのでしょう?
「最初のフルは2010年の東京マラソンで、その1、2年前からジョギングを始めました」
――それまで運動は。
「高校、大学で競技スキーをやっていたのですが、その後は本格的に運動をする機会がありませんでした。走り始めた理由は幾つかあり、一つは体形が変わってきたこと。また、その頃、マンション開発をする大京に出向していたのですが、2008、09年はリーマンショック後ということもあって、かなり厳しい状況だったため、ストレスを解消したいという思いもありました。あとは出向者として、社内の人たちともコミュニケーションを取りたかった。大京は企業内スポーツが活発で、ランニングクラブもあったため、仲間に入れてもらいました。一緒に練習し、大会も出ようとなり、徐々に引き込まれました」
――実際走り始めてみて、何か感じるものはありましたか。
「最初はツラかったです(笑)。ただ、どうせやるなら目標を立ててやろうと。それで東京マラソンに申し込んだところ、偶然当選し、まずはとにかく完走することを目標に設定しました」
――初マラソンの結果は。
「3時間58分。いきなりサブフォーです。割と順調に走れてしまいました。ゴールを見た時は本当に感動して、泣きそうになりました。終わってすぐに次の大会も申し込んで、それから毎年2回ほど、フルを走るようになりました」
――タイムは一つのモチベーションになっていますか。
「サブ3.5を目標に掲げ、3回目のフルだった2011年の大阪で達成しました。それから、3時間40分、50分となかなか切れないこともありましたが、とにかくサブ3.5をやろうと。それで、何回か挑戦して、19年の大阪で出した3時間23分38秒が自己ベストです」
――サブ3.5に向けて、肝になる練習などはありますか。
「スマートウォッチのプログラムで走っています。大会とターゲットタイムを設定すると、自動的に今日は『ペースランニングをしなさい』などと指示が出てきます。時間がない時などもあるので100%達成することは難しいですが、なるべくこなすようにしています」
――今はいつ走っていますか。
「ほとんど朝です。午前5時台に起きて、まずは犬の散歩をして、6時半ごろから5、6km走ります。週に4、5回ですね。土日どちらかは長めに走るようにしています」
――走ることに対してと、仕事に対する考え方で、共通していると感じることは。
「マラソンは、目標を決めてそれに向かって努力をして大会に臨めば、調子の良し悪し、暑い寒いなどその時々でいろいろあっても、諦めずに粘り強く進んでいけば必ずゴールが来る。それは仕事と同じだと思います。また、42.195kmは、つくづく絶妙な距離だと思います。35kmからの最後の30、40分は本当につらい。会社でも、中期計画や長期計画、今期の予算などを立てますが、やはり簡単に届く目標では意味がない。40kmではなく42.195km。ビジネスにおいても、そこを目指すべきだと思っています」
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