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皇居ランから世界の舞台へ! 元サークルランナー小林香菜選手が東京世界陸上の代表に!!

2025年9月03日
現在は徳島を拠点に活動している24歳の小林香菜選手(写真/岡崎孝生)
現在は徳島を拠点に活動している24歳の小林香菜選手(写真/岡崎孝生)

9月13~21日に東京・国立競技場で世界陸上が行われます。マラソンは女子が14日(日)、男子が15日(月・祝)の午前8時スタート。出場する6人の日本代表のうち、女子の小林香菜選手(大塚製薬)は大学時代、ランニングサークル「早稲田ホノルルマラソン完走会」に所属した異色のランナーです。“市民ランナー” だった小林選手が日本代表になるまでを振り返ったランナーズ6月号のインタビュー記事を公開します。


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――走り始めたキッカケは?

小林 元々運動音痴だったので、中学で部活に入る際、チームに迷惑をかけない個人競技の水泳部を選びました。そうしたら、私の中学の運動部は駅伝練習に参加する伝統があって、参加するうちに長距離を走ることが楽しくなりました。だんだん速くなって、関東大会を走ることができたんです。そこで、中学2年の冬に陸上部に転部しました。

――高校では陸上部で、大学ではサークルを選びましたが、当時はどのような心持ちで走っていたのでしょうか。

小林 市民マラソン大会は途中のエイドで何かを食べたり、きれいな景色を眺めたりと楽しそうで、走ってみたいと思っていました。それで、先輩が多く在籍していた「早稲田ホノルルマラソン完走会」というランニングサークルに入りました。その頃はとにかく走りながらボーっとするのが好きで、川沿いや人が少ないコースを、何も考えずに走るのが楽しかったですね。

――大学時代での練習量は?

小林 1年の時は週に1回、サークル活動で皇居(1周約5km)を2周するだけ。2年の途中から、熱心に走っていた男子の先輩と2人で練習するようになり、OTTやM×Kディスタンス(※1)などに出るようになりました。3年になると、毎日朝夕合わせて20kmぐらい走っていました。

――初マラソンの富士山マラソンは2年生の時ですね。

小林 はい。完走を目標にエイドでチョコなどを食べながら走りました。その後、1人でも練習をするようになって、先輩とは無料の和田堀公園競技場で走っていました。そうしたら、翌年の富士山では1時間近くタイムを更新できました(2時間39分54秒で優勝)。

――3年生で5000m16分台。日体大記録会(※2)も走っています。当時は何を目指していたのでしょうか。

小林 もうちょっと自分がどこまでいけるか挑戦してみたい気持ちがありました。実業団に行きたい思いはありつつ、決めきれませんでした。総務省を目指して勉強を続けながら、国家公務員の方に話を聞くと、繁忙期はマラソンどころではなさそうだったので、もっと本格的に走りたいと。そのため、タイムを更新しなくてはと思って記録会には参加していました。

――志望を実業団に絞ったのはいつごろでしょうか。

小林 3年の終わりに出た大阪国際女子で、ハーフを1時間11分57秒で通過し、そのハーフまでがすごく楽しかったんです。MGC(オリンピック選考会)に出るような選手たちと一緒に走れて、もう実業団一択にしようって決めました。

――自ら10社以上の実業団チームに連絡を取って売り込んだそうですね。

小林 「自分が好きでやっているから、今のスタイルが合ってるんじゃないの?」と断られることが多かったです。大学4年の夏頃に大塚製薬陸上競技部への入部を認めていただきました。

――高速ピッチが印象的ですが、どんな意識で走っていますか。

小林 中学の頃から、自分では他の人と同じように走っているつもりなんです。自分としてはみんなみたいにかっこよく走りたいとも思うのですが、監督からは自分に合っている走り方でいいし、速ければいいと言ってもらってます。ただ、その中でも、もう少しストライドを伸ばせたら確実にタイムは上がるはずと、最近よく話しています。

――ストライドを伸ばすために取り組んでいることは。

小林 監督がよく言うのは「回転を意識しろ」ということ。脚を上げるというより、動かすというような。自分の脚が自転車のペダルのように回るイメージを描いています。

――練習前、ドリルや初動負荷カムマシントレーニング(※3)をほぼ毎日やっていると聞きました。

小林 身体が硬く、股関節の動きも硬いので、その改善とケガ予防のため丁寧にやってます。アップとダウンで40分ずつ80分。覚悟を決めてこの世界に入ったので、そこは頑張るぞという気持ちで、今は習慣のようになってきました。

――1月の大阪国際女子マラソンでは2時間21分19秒を出して世界選手権の代表に選ばれました。本番ではどんな走りをしたいですか。

小林 まだまだ経験が少ないので、苦しい中でも終わって楽しかった、やりきったと思える走りをしたい。それから、正直、世界の舞台を走るのはもっと先になると思っていたので、そのための第一歩として、次に生かせる走りをしたいです。

――走ることはどのぐらい続けていきたいと思っていますか。

小林 世界の舞台を走りたいと言ってこのチームに入れていただいたので、自分がやりきったと思えるまでは続けたい。引退したらサークルの友達と一緒にホノルルマラソンを走りたい。そして、100kmマラソンやトレイルにも挑戦したいです。


取材・文/近藤雄二(読売新聞編集委員)


※1…どちらも都内を中心に開催されるトラックレース
※2…正式名称は日本体育大学長距離競技会。箱根駅伝を目指す大学生や実業団選手なども参加する日本陸連公認の記録会
※3…運動機能と脳-神経-筋肉の連携を向上させる「初動負荷理論」に基づいたトレーニング


プロフィール

2001年生まれ。群馬県出身。大塚製薬陸上競技部所属。前橋三中では3年時にジュニアオリンピック3000m10位。早稲田本庄高(埼玉)を経て早稲田大法学部に進学し、早稲田ホノルルマラソン完走会と山小屋研究会に所属しながら秋田内陸リゾートカップ100km(22年)、富士山マラソン(22、23年)などで優勝。今年1月の大阪国際女子では2時間21分19秒(当時日本歴代10位)で2位に入り、東京世界陸上の代表に選ばれた。



東京世界陸上マラソン日本代表

【男子】
吉田祐也(GMOインターネットグループ)2時間5分16秒
近藤亮太(三菱重工)2時間5分39秒
小山直城(Honda)2時間6分33秒

【女子】
安藤友香(しまむら)2時間21分18秒
小林香菜(大塚製薬)2時間21分19秒
佐藤早也伽(積水化学)2時間20分59秒

※左から名前(所属)、自己ベスト


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