ランニング学会のシンポジウムに登壇した(右から)有吉正博、川嶋伸次、渡辺康幸、竹澤健介の各氏
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「第37回ランニング学会大会inリソルの森」が3月22日と23日、千葉県長柄町で開催され、ランニングに関する研究発表などが行われました。シンポジウム「箱根から世界へ、次の100年に向けて」では、大学時代に箱根駅伝を経験してオリンピック代表となった3人と、箱根駅伝を主催する関東学連の有吉正博前会長が、箱根駅伝の役割や選手強化の課題について議論しました。その一部を紹介します。
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――近年、日本学生記録が次々に更新されていますが、どのように感じていますか?
渡辺 スピード化の大きな要因はシューズの進化です。一方で、速さだけを求める選手が増えて、土台作りや精神的な部分での泥臭さがなくなってきている印象があります。あまり先に進み過ぎるのは良くないのではないでしょうか。実際、(直近11年間で8回箱根駅伝に優勝した)青山学院大がやっているのは“昭和の練習”です。私たちの時代は練習量が多く、40km走や5000m×4本といったメニューをやっていて、1000m×10本は“休養”と言われるほどでした(笑)。それは極端だとしても、今の選手がそういう土台作りをしっかりできればマラソンで2時間3分、2分というタイムが出せるのだろうと思います。
――昔の選手とは何が変わってきているのでしょうか。
川嶋 これはマインドの問題もあります。私はマラソンと言えば我慢強い修行僧のイメージでしたが、最近の選手は「楽しみたい」「楽しんで走れました」という発言が多くなっています。マラソンを怖がらずに行けるところまで行ってみようという考え方に変わってきていて、これはすごく良いことだと思います。
竹澤 選手が成長する上では環境がすごく重要だと思います。僕の場合は(当時駅伝監督だった)渡辺さんにずっと「お前は最高の年回りだよ。3年で世界陸上、4年でオリンピックがあるんだから」と言われていました。僕は箱根駅伝と世界を目指すことは両立できるものと考えています。
渡辺 信頼関係が構築できれば、どんなに厳しい練習メニューを出しても選手はこなしてくれます。そうすれば速さだけでなく強さを兼ね備えた選手が出てくるのではないでしょうか。
有吉 オリンピックには箱根駅伝を経験した選手が毎回出ています。「箱根から世界へ」というコンセプトは一貫していて、変えるべきではない、役割は果たしていると考えています。そういったところにも着目していただければと思います。
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