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フルマラソンで多くのランナーが直面する「30kmの壁」。その原因は体内のエネルギーが枯渇することだと言われていましたが、近年の研究では別の説が有力視されています。ランナーズ3月号では「30kmの壁」の仕組みと対策について、内科医でサブスリーランナーの北原拓也先生が解説してくれました。その一部を転載します。
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文献によると壁の正体は、エネルギー不足だけではありません。そして、近年はエネルギー不足よりも違う説が有力となってきています。そこで、原因といわれる説と、一つの研究結果を見てみましょう。
30kmの壁の正体フルマラソンにおける「30kmの壁」には3つの説があります。
1)エネルギー枯渇・老廃物蓄積説(昔から一般的に言われている説)
心肺や筋肉の必要なエネルギーが枯渇したり、代謝・排泄させるべき老廃物が蓄積してしまい、疲労が発生するのが原因とした説です。主に前者は糖分やグリコーゲンで、後者は乳酸となります。
2)神経筋疲労説
長時間の運動の結果、神経からの電気刺激に対する筋肉の反応の低下が起こり、脚が動かなくなる説です。筋肉の腫れや硬直、筋線維の断裂なども原因となります。
3)中枢調節モデル説(今最も有力な説)
筋肉をはじめとした全身の臓器からの信号を脳が受け、身体を守るために脳が運動を調節しているという説です。水分やエネルギーの不足、ストレスや疲労が原因で脳がブレーキをかけるのです。
壁の正体は【1】が原因と以前は言われていました。ですが、実際に血糖値をモニタリングしながらマラソンやウルトラマラソンを走った研究では、ほとんど低血糖は起きていませんでした。
また、【2】の神経筋疲労による失速は確かに存在します。特に速いランナーが過酷なコースに挑んだ時に、終盤脚に力が入らなくなったり、脚つりで失速するランナーはこれにあたると思われます。
しかし、初心者ランナーや、いつも30kmで失速するランナーにそびえ立つ「30kmの壁」とは少し性質が違うようです。それよりは、【3】の「中枢調節モデル説」のほうが多くのランナーに当てはまりそうです。というのも、30kmの壁の対策としてカフェインやミントを摂取したり、スポーツドリンクや甘いものを口に含むだけでも有効とされています。これは脳が感じている疲労やエネルギー不足を、脳を刺激したりエネルギーを補給したと誤認させる行為です。それだけで30kmの壁が遠のくのであれば、【3】の説が有力というわけです。
それでは、どうすれば30kmの壁を乗り越えられるのでしょうか。私が考える方法の一つは「レース1カ月前に30km、できればフルマラソンを走ること」です。「エネルギーが減ってきても、呼吸や心拍がキツくなっても無事だった」という経験を脳に刻み込めば、レース中にかかるブレーキを弱く、タイミングを遅くできるのです。ある程度走り込んでいるランナーの場合は30kmよりも長く、42km走るほうが壁に対する効果は高いはずです。
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ランナーズ3月号では「30kmの壁」を乗り越えるための具体的な方法をより詳しく紹介しています。これからフルマラソンに臨むランナーはぜひご一読ください。
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