![]() 写真/小野口健太
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写真は2023年度全日本マラソンランキングの最高齢ランナーである91歳の北畑耕一さん。自宅そばの約500mの緩やかな坂を10往復して10km走るトレーニングを週2回継続し、「いつも坂を走っているので、アップダウンのあるフルマラソンも苦にならない」と語ります。
北畑さんは伊藤忠商事を経て外資系日本法人の代表を歴任、退職後に74歳で走り始め、78歳で初マラソンを経験。今年1月12日のいぶすき菜の花マラソンで33回目のフル完走を果たしました。昨年は90歳で4月にパリマラソン、9月にシドニーマラソンを完走。これまで走った海外マラソンは20回を数えます。
発売中のランナーズ3月号では、北畑さんのこれまでの歩みとフルマラソンへの想いをインタビューしています。
――74歳のときにジョギングを始めました。走ることに抵抗はなかったのでしょうか。
「まず歩くことから始めました。坂の多い自宅周辺を半年くらい歩き続けるうちに、1km8分40秒くらいで早歩きできるようになったんです。それで早歩きよりジョギングの方が楽だな、と思うようになって、自然に走りに移行できました。2009年(75歳)から、仲間に誘われて湘南月例マラソンに出るようになり、3kmから始めて、その年の11月に初めて10kmを走りました。そこから毎月欠かさず1年以上、この月例の10kmを走っていると、『ランニングを人生の次のチャレンジにしたい』と思うようになったんです」
――チャレンジ、ですか。
「はい。退職後、70歳から4年間はフランス語にチャレンジして、2018年からは茶道にチャレンジ。どうも私は、性格的に、常に何かにチャレンジしていないと気が済まないんですね」
――その後、どういう風にフルマラソンまでチャレンジしていったんでしょうか。
「2011年1月に初めてレースらしいレース、湘南国際マラソンの10kmに出ました。そこで一般男子の部で2,278人中、2262位だったんです。今思えば、77歳なのでそんなものかもしれませんが、その時は『もう少し上を目指したい』と思ったんです。そこから、毎月の月例マラソンに加え、神奈川マラソン10kmや横浜ロードレース10kmなど、積極的にレースに出るようになりました」
――そして20kmを2度走り、「20kmいけたら絶対フルマランも走れる」と友人にささやかれ、フルマラソンへ挑戦された。
「人生そんなに長くないんで、やってみるか、と思ったんです。初マラソンの2012年のパリマラソンは、やたら寒くて、羽織っていったジャケットを脱がずに着たまま走って。今思うとシューズも重いのをはいていましたね。完走できたのは寒かったのが功を奏したのかもしれません。私は幼少期からずっと運動が不得意で、水泳も上達しないし、草野球をやってもうまくできなかった。でもフルマラソンを完走できて、走ることなら何とかできそうだと。完走後、しばらくパリに滞在する中で、『生涯マラソンを続けたい』という思いが芽生えてきたんです」
――2024年は90歳で3回フルマラソンを完走しました。
「1月のいぶすき菜の花の後、4月はパリに出て、9月はWMM年代別選手権※でシドニーに出ました。シドニーは夏場暑すぎて走れなかったので、途中でやめようかと思うくらいきつかった。それでも7時間23分で完走しました。オーストラリアのマラソン史上、最高齢だったようです」
※ 40歳以上のランナーが参加できるワールド・マラソンメジャーズの年代別ランキングにおいて、1年間の予選期間終了時点でランキング上位のランナーは、年代別世界選手権に招待される(費用は自己負担)
![]() 2024年4月のパリマラソン
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ランナーズ3月号では、インタビュー全文を掲載。北畑さんのある一日に密着し、毎朝続ける股関節エクササイズの様子なども紹介しています。
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ランナーズ5月号 3月22日発売!
万国共通「走る力は生きる力」
3月2日に開催された東京マラソンは約3万7000人が出走し、海外からの参加者は約1万7000人。2月24日の大阪マラソンには約3万2000人が参加し、海外からのエントリーは約6000人。世界各国のランナーにあなたにとっての「走る力は生きる力」をインタビューしてわかったことは、言葉や文化が異なっても、ランニングを通じて前向きな人生を切り開いていることは万国共通、ということでした。
40年連続サブスリー達成者に川内優輝がインタビュー
今年2月の別府大分マラソンを2時間59分27秒でフィニッシュし、40年連続サブスリーを達成した日吉一郎さん(当時59歳)に、マラソン2時間20分以内で100回以上走破し、ギネス記録保持者である川内優輝選手がインタビュー。「なぜこれほど長い間継続できたのか」を聞きました。
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年齢を重ねても走り続けるレジェンドランナーたちはどのようにして衰えを克服し、マラソンで高いパフォーマンスを維持しているのでしょうか。今号に登場するレジェンドたちの「マイトレーニング」を紹介します。
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