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いよいよ日本列島の暑さが本格化。さらに、梅雨を迎えると雨の日も続いて走り出すハードルが高い季節となります。そんな時でも快適に走れるのが空調の効いたジムでのトレッドミル。屋外で走った方が練習の効果があるのでは? と思う方もいるかもしれませんが、欧米のトップ選手は積極的にトレッドミルを活用しています。現在発売中のランナーズ7月号ではこれからの時期に向けて「ジムラン」を特集していますが、ここではその中からトレッドミル走行と屋外走行の違いを専門家が解説した内容を抜粋して紹介します。
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普段屋外を走っているランナーがトレッドミルで練習するメリットはあるのでしょうか? まず、自身もほとんどトレッドミル上での練習のみでサブスリーを達成したという、医師の北原拓也先生に話を聞きました。
「屋外のランニングとトレッドミルはそれぞれ利点があります。屋外だと様々な環境の変化に対応する必要があるので、強いメンタルが作れるでしょうし、雨や風の時の練習にもなるでしょう。一方、トレッドミルの利点は常に一定の環境や設定したペースで走るのが可能なこと。そして、それ以外にも大きな要素として挙げられるのが『衝撃の少なさ』です」
こう言うと、2020年に発表された海外の研究データを示してくれました。
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「これはフルマラソン時とトレッドミルで走った際の脛骨(すねの骨)の衝撃を速度に応じて調整し、比較したものです。マラソンは後半になるほど脚への衝撃がかからない走り方になっていくのですが、トレッドミルでは40km地点よりも少ない衝撃でした。これはベルトがロードよりも柔らかいことなどが要因として考えられます。脚の故障が多い方や、疲労している時などのトレーニングに向いているといえるかもしれないですね」
続いて、トレッドミルの速度をどう設定すべきかを筑波大学大学院の小川慶図さんに尋ねました。
「これまで、トレッドミルの負荷を屋外のランニングに近づけるには上り傾斜を1%つける、と言われてきましたが、我々の研究ではこれは負荷が高すぎるということが明らかになりました。学生ランナーを対象にキロ4分と3分20秒ペースでそれぞれ屋外走行とトレッドミル上のランニングを比較すると、乳酸や心拍数、酸素摂取量などの値でほぼ全員がトレッドミルの方が高い値(=負荷が大きい)という結果になったのです。今までの研究では屋外の酸素摂取量測定に大きな機器が必要だったため、正確な値を測れていなかったのだと思います。ただ、実験で使用するトレッドミルはジムなどのものに比べて大型で安定しているので、機種によっても負荷の違いが生じる可能性があります。そのため、『傾斜1%で屋外と同じ速度』にこだわらず、自身の体感が屋外と同様の負荷になる設定で走ればいいのではないかと思います。その他の面では、トレッドミルでは屋外と同じペースの場合、ストライドがやや短く、ピッチが少し多くなることも分かっています。そのため、コンパクトな走りを身につけたい人に効果があるかもしれません。傾斜を大きくして負荷を高めることもできますし、特性を生かしてトレーニングしてください」
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ランナーズ7月号では「モーションセンサーを使用して検証した、屋外走行とトレッドミル走行でのフォームの違い」「初めてトレッドミルで走るランナー向けアドバイス」「トレッドミルのお勧めスピード走メニュー」といった内容も掲載しています。ぜひご覧ください。
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