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写真/青山義幸
常識を覆す結果を出しているランナーを紹介する連載が現在発売中のランナーズ5月号から始まりました。
初回は埼玉県草加市でコンビニ経営に携わる森貴樹さん(40歳)。
箱根駅伝出場などトップレベルでの実績はありませんが、大学卒業後も地道なトレーニングを続けることで、フルマラソンの記録を2時間13分まで伸ばしました。
2021年のびわ湖マラソンで、39歳にして2時間13分16秒の自己ベストを出した森貴樹さんは、妻の両親が経営するコンビニのマネージャーを務めています。
天気を読みながら仕入れ、在庫の管理、10人のアルバイトを回すシフト調整、どこにコストを掛けるかの裁量まですべてを任され、売上げを伸ばしてきました。
そうした中、店舗に出ない夕方など時間を見つけて練習を重ね、市民ランナーとしては破格の力を養ってきました。
ポイント練習に当てているのは水曜日と土日のどちらか。そのスケジュールは2020年春まで勤めていた流通経済大学(及び流通経済大学柏高校)の事務職時代から変わりません。
高校から陸上競技を始め、成蹊大学で箱根駅伝を目指しましたが、願いはかないませんでした。しかし、卒業前に挑んだ2006年の東京国際マラソンで2時間25分14秒を記録。同年の福岡国際マラソンでは2時間23分50秒まで伸ばしました。
「マラソンは意外に簡単だなと感じたんです。2時間20分はすぐに切れるだろうと」
ところが……。長い間、20分の壁を越えられませんでした。マラソンはそれほど簡単なものではなかったのです。
転機は2011年の秋。流経大で部活の管理もする部署にいたため、箱根駅伝の予選会に足を運びました。
30歳での、そこでの出会いがランニング人生を大きく変えました。
元学習院大学陸上競技部監督で、川内優輝選手を育てた津田誠一さんから声が掛かったのです。学生時代からの知り合いだった津田さんには、2時間20分ならすぐに切らせる自信がありました。
そこから、主に駒沢オリンピック公園(東京)での週末の指導が始まりました。「ずっと一人で練習をしていたので、見ていただけるのはありがたかった」と森さんは感謝します。
と同時に、津田さんの言葉に驚いたといいます。「頑張るな、頑張るなと言うんですから。それは新鮮でした。それまでは、頑張れ、頑張れと言われてきたので」。根本的な思想の転換を迫られたわけです。
当初は「頑張らない」とはどういうことなのかが、つかめませんでした。つい頑張ってしまい、練習の設定ペースを上回りました。
ジョギングでもキロ4分という速いペースで走ってしまう。しかも、首だけ少し前に傾けているだけで、上体が突っ立ったままのフォームだったといいます。
「心を落ち着かせて淡々と同じペース、同じリズムで最後まで走り抜くのは難しかった。ペースを上げたくなってしまう」
衝動を抑えることがマラソンでの成功には欠かせません。徹底した自己管理を強いられます。だから、津田さんは「頑張るな」と繰り返しました。
頑張らないことをたたき込むため、キロ6~7分でゆっくりジョギングをさせ、スピードを上げるメニューでもたとえば1kmを3分40秒というマラソンよりもキロ20秒以上遅い、抑え目の設定でペース走を課しました。
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現在発売中のランナーズ5月号では津田さんと共に目標に挑む森さんの姿、そして指導する津田さんが「見るに見かねて声を掛けた」と話す出会いについても掲載しています。
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