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写真で廣田社長が手に持っているのはスピードシューズ「METASPEED」とフォーム測定機器「モーションセンサー」
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今年の箱根駅伝でアシックスのシューズをはいた選手がいなかった一方、同社は第1四半期(21年12月期)の売上が3年振りに1000億円を突破する増収増益!カシオ計算機と協業でランナー向けパーソナルコーチングサービス「Runmetrix(ランメトリックス)」をスタートさせるなど近年、デジタルサービスを積極展開していることも特徴だ。RUNNET channel編集長の京谷和央が「月刊ランナーズ」定期購読者でもある廣田康人社長にインタビューをすると、「全ての原点は失敗にあった」。ランナーズonlineでは2回に渡って紹介します。
京谷 アシックスさんは先日発表された第1四半期決算で、前年同期比が大幅な増収増益でしたね。
廣田 まだ第1四半期の数字ですが、手ごたえを感じている部分はあります。昨年春はどうなることかと思いましたし、最終決算は赤字になってしましましたが。ただ、予想以上に早く回復していまして、今は、我々はもちろん、スポーツ業界全体に追い風が吹いていると思っています。
京谷 昨年春、つまり新型コロナが発生した直後はかなり厳しい状況だったのでしょうか?
廣田 はい、(ロックダウン等により)世界中の店舗を閉めざるを得ない状況になったため、まずは現金を確保し、在庫が増えないように生産調整を行いました。
京谷 そこから、どのように回復へ向かったのでしょうか?
廣田 昨年の後半から急にオーダーが増えました。この時には、潮目が変わる早さにちょっと驚きましたけど。
京谷 日本中、いや世界中が閉塞感に包まれる中で起きた変化なわけですが、その要因はいかにお考えでしょうか?
廣田 マクロの観点ではやはり、新型コロナの中で健康志向が強まってきていることがあると思っています。その中で弊社は上級者からビギナーまで、幅広い層の方にはいていただけるランニングシューズを揃えておいたことが、功を奏しました。
京谷 なるほど。
廣田 もうひとつはEコマースです。「OneASICS」という会員制度を持っていたので、Eコマースでモノを売ることがしやすかった。海外のエントリーサイト「Race Roster(レースロースター)」やランニングアプリ「Runkeeper(ランキーパー)」を買収していたことで、世界中のランナーを対象にしたバーチャルレースを開催することもできました。
京谷 これまでに積み上げた事業がコロナ禍に花開いた、と?
廣田 はい、ランナーとタッチポイントを増やすことを推し進めていたことが、結果として幸いしました。
京谷 ただ、ここまでたくさんのデジタルサービスを提供することは、従来のスポーツメーカーにはなかった動きではないでしょうか。
廣田 弊社の直営店でお客様から受ける質問は、シューズやグッズのことだけでなく練習方法から脚の痛み、大会探しまで多岐にわたります。そこで「これからはモノを売るだけではなく、ランニングに関わるトータル的なサービスを提供していく必要がある」と考えました。その起点がデジタルだと捉えています。
京谷 その戦略の背景には、ご自身のランナーとしての経験もあるのではないでしょうか?
廣田 ありますね。私自身、遠方のレースにランニング仲間と行く時は「ゴール近くのあそこの店で打ち上げしよう」とか、そんな話ばっかりしているように、ランニングは観光、食、旅といった部分にもつながっていますよね。福島県の「赤べこ発祥の地会津柳津フルマラソン」に出場した時なんかは都内から遠くて、近くに宿がない……さらにコースは起状だらけの周回で、本当に大変だったのですが、面白かったですよ。
廣田康人社長のインタビューは現在発売中の10月号に全文掲載していますので、ぜひチェックしてみてください。
廣田康人さん:
株式会社アシックス 代表取締役社長 COO
1956年生まれ、愛知県出身。早稲田大学卒業、新卒入社した三菱商事を経て2018年より現職。2007年にランニングを始め、フルマラソンの自己ベストは2017年の大阪で出した3時間53分27秒。
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