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180人アンケート結果から判明 サブスリー達成の極意

2026年8月06日

達成者たちの「これのおかげでサブスリー」

今回アンケート回答者の中から3人のサブスリーランナーを取材。達成の決め手が見えてきました!
イラスト/田川博之


50歳初サブスリーの秘訣は徹底的に持続力強化(中松伸吾さん)


「サブスリーランナーであることは仕事中も心の支えになる」

「私は5kmのベストが19分30秒ぐらいとスピードがない。だから、ジョギング途中2㎞をキロ4分ちょっとに上げて、いったんペースダウンしてから最後の2㎞をまたキロ4分ぐらいに上げる『変化走ジョグ』をするなど徹底的に持続力を鍛えているんです」
こう話すのは昨年4月のランナーズフルマラソンチャレンジ大阪大会で59歳にして2時間58分54秒で初サブスリーを達成した中松伸吾さん(60歳)。ダイエットのために走り始め、2016年の大阪マラソンを4時間48分21秒で完走。2018年の紀州口熊野マラソンでサブフォー (3時間49分9秒)したころから記録を狙うようになった。
IT企業の役員を務める中、夜ランを中心に練習を重ね、2019年の大阪マラソンでは3時間14分32秒まで短縮。サブスリーを意識するようになったが、「スピード不足」が課題だった。「例えばサブスリーのランナーは1㎞インターバル走を3分40~50秒でやると思うのですが、年齢もあってとてもそんなペースでこなせないんです」
それならば、と思い立ったのが徹底してスタミナを強化することだった。ジョギングをキロ5分30秒~4分20秒と速めのペースで繰り返し、前述の変化走ジョグを取り入れ、週末はほぼ毎週25~30㎞走。月間走行距離は350~420㎞で、練習後は冷水シャワーと湯船の「交代浴」を毎日実施した。
こうした結果、ランナーズフルマラソンチャレンジでは5㎞ごとのタイムが21分8~21秒とほぼ完璧なイーブンベースで、初サブスリーを果たした。
「サブスリーは市民ランナーにとってステータス。それをやり遂げているのは、仕事中にも心の支えになります。65歳までは継続したいですね」


ランニング本を読み漁って2時間49分台で走った弁護士(松比良剛さん)


「サブスリーは最高の営業ツールです」

鹿児島で法律事務所を経営する弁護士の松比良剛さん(48歳)は36歳でマラソンに取り組む始めた当初から「どうせならサブスリーしたい」とあらゆるランニング本を読み漁った。コレと思ったトレーニングを実践し、自分に合う練習を取捨選択。その甲斐あってか初マラソンの2013年いぶすき菜の花マラソン (1月)を3時間14分で走ると、同年11月の天草マラソンで初サブスリー(2時間58分35秒)。自己ベストは19年防府マラソンで出した2時間49分23秒だ。
「家にあるマラソン関連本は80冊くらい。すべてをそのまま実行はできないので、私の練習は本の『いいとこどり』です」
最近は大迫傑選手が主宰するシュガーエリートQ(走ることをキッカケに人生を楽しみたいオトナのためのプロジェクト)に入会。月に1度送られてくる「大迫傑トレーニングメニュー」もいいとこどりしている。
「中でもファルトレクがお気に入りです。インターバルが苦手でスピード練習をほとんどやらないのですが、1分速いペースと1分ゆっくりベースを交互に10~15セット繰り返すファルトレクは続けられています」
走り始めてから練習はずっと一人で行っている。平日は朝5時半から、水とコーヒーだけとり、走る。週末も朝9時までには終える。桜島を望む錦江湾沿いのロードがホームコースだ。朝食後、週3回は腹筋や背筋といった筋トレを行う。
足の負担を減らすため、仕事中も普通の革靴ではなくアシックスランウォークの革靴を着用。「ミルキング・アクションを意識して1時間に1回は身体を動かしています」。夜はクライアントとの会食が入ることも多い。会話の中で「サブスリーは最高の営業ツールになっている」という。
「本やインターネット、SNSを使って新しいトレーニングや理論を探求することは純粋に楽しい。これからも貪欲に『いいとこどり』してサブスリーを継続していきたいです」


在宅勤務で走行距離が延びた 58歳で4年ぶりサブスリー(奥永俊哉さん)


「長女の披露宴で『2時間台で走るパパ』と言ってもらって感無量でした」

専門商社に勤務する奥永俊哉さん(59歳)は、2018年大阪マラソンで2時間57分46秒の自己ベストを記録。しかし、その後は失速するレースが続き「もうだめかと思っていた」。そんな状況が変わったのは、コロナ禍で在宅勤務になってからだった。
「家の中にいるだけではやることがないし、気がめいってしまう。時間があれば、とにかく走りに行くようになりました」
多い日は朝に10km、仕事後の夕方にも15km。昼も走って三部練習をすることもあったという。月250㎞だった走行距離は、400㎞以上に延びた。
さらに、「苦手」というスピード練習代わりに、コロナ禍でも開催していたマスターズ陸上のトラック種目 (1500m、5000m)にも出場するようになり、生活の中でランニングの比重が大きくなっていった。
コロナ明けの復帰戦となった昨年10月の水戸黄門漫遊マラソンこそ「気負ってしまった」と失速して3時間16分だったが、今年2月の別府大分マラソンでは「38㎞まで時計を見ずに走って」2時間57分50秒で久々のサブスリーを達成。さらに、同月の大阪マラソンでも同様に時計を見ないで走ったところ、連続サブスリー(2時間58分43秒)となった。「いずれも後半ほとんど失速せずに完走できました」
現在は出社と在宅勤務が半々になったが走行距離はキープ。揚げ物を控えるなど食事にも気を使い、体重はコロナ前より4kg落ちて体脂肪率は5%だ。
「ランニングが習慣化し、走らないと気持ち悪いという意識に変わりました。5月にあった長女の披露宴で『今でもマラソン2時間台で走るパパへ』と言ってもらえたことは感無量でした」


検証 夢の80歳3時間切りは可能? 「人は何歳までサブスリーができるのか?」

現在、世界最年長のサブスリーはカナダのエド・ウィットロックさん(故人)の74歳。
人類のサブスリーはこの記録が限界なのか? それとも、さらに伸ばすことができるのか?
医師や研究者に意見を聞いた。
2022年度の全日本マラソンランキングの最年長サブスリーは67歳。これまで国内の70代がサブスリーを達成したという話は聞いたことがない。一方、世界では70代サブスリーが複数名おり、カナダのエド・ウィットロックさんが74歳の時にロッテルダムマラソンで2時間58分40秒で走ったのが最年長とみられる。果たして、今後この記録を破るランナーは出てくるのか。そして、人は何歳までサブスリーで走れるのだろうか。

まず話を聞いたのは桜美林大学の山本正彦先生。
「近年、高齢者は速くなっているので、サブスリーの最年長記録が更新される可能性は十分ありますね」と答えてくれた。
山本先生によると、ニューヨーク・シティマラソンで30年間にわたって調査したレポートでは、若いランナーの記録はほとんど変化していないものの、60歳以上のタイムは向上しているという。特に70歳以上の男性は平均で約13分短縮しているそうだ。
「全日本マラソンランキングのデータをみても、かつてサブスリーには60歳の壁がありました(2012年度の還暦サブスリーは14人)が、22年度は還暦サブスリーが60人もいて、『壁』は65歳に引き上がっています。今後は国内でも70歳以上の達成者が続々誕生するかもしれませんね」

一方、「スーパーランナーが努力し続ければ80歳のサブスリーも可能性がある」と話すのは、サブスリー医師の北原拓也先生だ。北原先生によると、マラソンの記録が加齢で落ちるのは主に最大酸素摂取量の低下が原因。そして、それは「内臓の老化によるもの」ではないかという。
「実際にニューヨーク・シティマラソンの年齢別上位10人を調べた結果では、60~75歳まで1歳ごとに2.2%記録が低下しています。トレーニングしている人でもこのぐらいは落ちていくということですね。ただ、中には例外がいて、74歳でサブスリーしたエドさんは、60~85歳で年0.8%しか落ちていません。また、別の欧州チャンピオンの男性も65~82歳で年1.2%の低下にとどめています」

そして、「あくまで机上の計算」とした上で続ける。
「現在の50歳、55歳、60歳、65歳のマスターズ世界記録保持者たちが、もしエドさんと同程度の低下率ならば、80歳での記録は3時間4分~11分となります。このレベルの人が80歳時点で非常に調子が良かったり、厚底シューズのような新しいテクノロジーが使えたとしたら、サブスリーできる可能性も十分あるのではないでしょうか。ただ、それ以上の年齢ではさらに加速度的に記録は低下していくことが分かっており、さすがに80歳前後が限界だと思われます」
この仮説は果たして正しいののか。今後、世界のスーパー高齢ランナーたちに注目したい。


調子やギア次第ではサブスリーの可能性も!?

【現在のマスターズ世界記録 ※23年1月時点で承認されているもの】
・M50 2:19:29
・M55 2:25:56
・M60 2:36:30
・M65 2:41:57

【年0.8%の低下で80歳を迎えた場合のシミュレーション】
・M50の記録ベース:3:06
・M55の記録ベース:3:04
・M60の記録ベース:3:11
・M65の記録ベース:3:07





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