※本記事は『ランナーズ2026年1月号』掲載内容になります。
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「ハードだけど実践してみたい」ランナーズでは読者の皆様にそんな気持ちを抱いてもらえることを目指して、「速くなるトレーニング」を紹介してきました。厳選して掲載します。
RUNNETで購入可能 ¥1,540(税込)
https://runnet.jp/book/dvd/200521.html |
「レースを速く走るためには日頃から速く走った方がよい」と考えるのが普通だが、1984年に真逆の発想となる『ゆっくり走れば速くなる』というタイトルの書籍を刊行。「LSD(ロング・スロー・ディスタンス)」が日本の市民ランナーに知れ渡るキッカケとなった。
故・佐々木功監督が提唱したLSD(ロング・スロー・ディスタンス)理論をまとめたものが、1984年にランナーズから刊行した書籍『ゆっくり走れば速くなる』だ。
佐々木監督は故障が多かった学生時代の経験から「ゆっくり長く走ることも意味はあり、速く走れるようにもなる」と考え、東京教育大学(現筑波大学)の聴講生として学ぶ中で、当時はまだ日本でその言葉がほとんど知られていなかったLSDが、海外ではマラソントレーニングの主流となっていることを知り、 理論的に深めていった。
書籍内ではその効用について、「弱い刺激を長時間にわたって与え続けることによって、筋肉の眠った末梢毛細血管に少しずつ血液が送り込まれていき、やがて生きた末梢毛細血管となっていくのです」「長時間走ることによって末梢毛細血管を開発し、心肺機能をも高め、最大酸素摂取量をも高める。それは長距離に向いた身体をつくっていく(身体資源を開発する)ということを意味します」と語っている。また、身体資源開発に加えて、フォームの矯正や疲労回復効果、グリコーゲン量の増大、減量など様々な効果も挙げている。
方法については、全力の40~60%のペースで心拍数130以下、時間は経験を積んだランナーであれば2~4時間、あまりトレーニングを積んでいないジョガーであれば1~3時間を目安としている。
健康ランニングを考えるランナーはLSDを練習の中心にすえるべきといい「練習の9割はLSDでいいと思います。記録は必ず伸びていきます」とも語っている。
一方で佐々木監督は記録を求めるランナーに対してはLSDだけを勧めていたわけではなく、「休養(LSD)→コンディションコントロール(LSDから始めて徐々にペースアップして調子を上げる練習)→オーバートレーニング(スピード走やロング走など負荷の高い練習)の流れによって、いい連鎖反応を起こさせていくことが大切」としている。LSDで大きな土台をつくることで、スピードを上げるトレーニングの効果を最大限得られるようにする、という考え方だった。
佐々木監督の指導を受けた浅井えり子さんが1984年の東京国際女子マラソンで日本人トップの2位、1988年ソウルオリンピック出場、1994年名古屋国際女子マラソン優勝などの実績を残したこともあり、「ゆっくり走れば速くなる」LSD理論は多くの市民ランナーに受け入れられた。
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芝生や山道を走るクロスカントリー走、その有効性は創刊直後から伝えられてきた。
現代でも「有効」なトレーニング方法として知られているクロスカントリー走を、1970年代から推奨していたのが故佐々木功監督だ。1979年の当企画では「僕が指導している東洋大学駅伝部もほとんどアスファルト(道路)は走らない」とし、土のグラウンドや芝生、山道を主な練習コースにしていることを明かした。
佐々木監督が話すクロスカントリー走の効果は、「上り下りのある不整地を横の動きを入れながら走ることでふくらはぎや大腿二頭筋、足首、腹筋や背筋など様々な筋肉が強化できる」「スピードを上げずにゆっくり走れば、心身とも疲れている時に最適な回復ジョグになる」というもの。
コースについてはハイキング場、競技場や野球場の芝生、神社やお寺などの階段を有する場所など、「極端にいえばどこでも構わない」という。
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スピード走の「原点」ともいえるファルトレークは北欧で生まれ、世界中に広まった。
アフリカ勢がトレーニングで実践している「ファルトレク(ファルトレーク)」を掲載
したのは1979年。山西哲郎先生は「長距離走の練習に、二十世紀に入って革命が起きた」と話した。元々スウェーデンで生まれたこの練習は森や丘、林などいろいろな地形でスピードを変化させながら走るというもの。英語ではスピードプレイ
と呼ばれる。
それから40年以上後の2022年、本誌では同志社大学の石井好二郎先生が「ファルトレクでは乳酸が放出されて再利用される仕組みなどから、様々な能力が鍛えられる」と記し、石井先生の研究室の教え子で東京オリンピック1500m8位入賞の田中希実選手も実践していたことを明かした。現在行われるファルトレクは、速いペースとジョギングを1〜2分ごとに繰り返すメニューなどが主流となっている。
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1990年には世界の中長距離トレーニング理論の土台をつくったと言われている、
アーサー・リディアード氏が誌面に登場した。
アーサー・リディアード氏が1990年に日本で行った講演、クリニックをもとにその理論を掲載した。
リディア―ドの考え方は長い距離をより速く走るためには、酸素を稼ぐ力(有酸素能力)をつけ、必要な時に無酸素能力を高めることで、エネルギーを効率よく推進力に変えられるというもの。各能力を鍛えるためのトレーニングを順序よく、バランスをとりながら進めていくことがポイントだと語っている。
最初の段階では有酸素能力を鍛えるために、楽に走れる最高のスピード(最高安定状態)で、できるだけ長く走ることを推奨。距離の目安は日々距離やペースに変化をつけながら週160㎞。
これによって土台を作ったら、次は無酸素トレーニングの準備としてヒルトレーニング(坂でのバウンディングなど)を行う。その後にインターバル走やレペティション、タイムトライアルといった無酸素トレーニングに取り組む。
以降は鍛えた有酸素能力と無酸素能力を維持しながら調整的トレーニングにより身
体をレース仕様に仕上げていく。具体的には無酸素能力を維持するシャープナー、有
酸素能力をキープするロングジョグ、いいフォームをキープするスプリントトレーニング、そしてそれらを協調させるのがレースやタイムトライアルだ。
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