※本記事は『ランナーズ2025年4月号』掲載内容になります。
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これまで、本誌では「初サブスリーを狙うなら45歳まで (2013年5月号)」「生涯自己ベストは47歳までに狙うべし (2023年1月号)」と伝えてきました。昨年、初サブスリー達成者にアンケートを行ったところ、50人中20人が48歳以上での達成でした。今号では48~65歳で初サブスリーを果たした14人を紹介。全員に共通していたのは信念を持って徹底的に走り込んでいることでした。
文/市村まや、栗原直也
「40代後半が走力のピークという常識を超えるには信念=強みを持って走り込むことが大切です」
48歳以降に初サブスリーをした14人のランナーに取材をすると、その秘訣について「年間を通してコツコツ走ること」と話してくれました。
14人の平均年間走行距離は3779km。さらに「過酷なコースを走る」「練習会を活用する」「多忙な日々の平日ラン」「週末ドカ走り」「30km超えロング走」などのこだわりを持っていました。年間を通じた走り込みについて天理大学の岩山海渡先生はこう語ります。
「走り込みで得られる能力はミトコンドリアや毛細血管の増加、脂質代謝能の向上などです。もちろん走行距離がすべてではありませんが、今回の結果を見ると走行距離が月300kmに満たない人がサブスリーを目指すにはまず300km以上走ることが近道といえそうです。
加齢とともに速筋線維の割合は減少していくので、ベテランランナーは遅筋に対して負荷をかけていく方が(相対的に)標的の大きいトレーニングになるように思いますし、ケガを防ぐ意味でも走り込みからのアプローチにはメリットがあります。サブスリーはキロ4分15秒で走り続けるスピードが必要とはいえ、ダッシュとは異なり遅筋でカバーできる範囲です。
トレーニングの中断や量の減少が起こった場合、有酸素能力は比較的早く低下します。そこに加齢による低下が加わると元に戻すのはより難しくなります。それに対して、年間を通して走り込むことで一定のラインをキープできれば、年齢を重ねる中でも初サブスリーのチャンスは増えていきます。
最後に、これまで示された45歳や47歳までがピークというのはあくまで平均値であり絶対的ではありません。年齢を重ねても挑戦する気持ちがあるならば、自分なりの信念=強みを見つけ、身体に刺激を入れることが必要だと思います」
これから本気でサブスリーを目指すランナーは、14人の信念に基づいた走り込みをぜひ参考にしてください。
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50
歳男性のサブスリー率は40歳の約半分
2023年度の全日本マラソンランキングから、5歳刻みで男性のサブスリー達成率を算出したところ、最も高いのが35歳の8.1%だった。そこから低下していき40歳は6.6%いるものの、45歳では5%を切る。50歳(3.3%)、55歳(1.6%)と続き、60歳では0.6%まで減少。サブスリーを40代後半以降に初めて達成することの難しさが分かる。
山田真治さん(52歳) 2時間56分18秒(22年東京)
年間走行距離:2933km
税理士という職業柄、デスクワークが多く毎年のようにぎっくり腰になっていたため、予防策としてジョギングを始めたのが41歳のときです。当初の走行距離は月100kmほど。2020年に中央大学陸上部駅伝監督の藤原正和さんから走り方を教わる機会があり、サブスリーを目指してみようと思うようになりました。
それからは器具を購入して筋トレを行うとともに、ジョギングを増やして走行距離を平均月250kmしました。ただし、仕事との兼ね合いでこれ以上増やすことは難しかったので、坂や風のキツいコースを走ることで効率的に鍛えようと考えました。
坂道練習で主に走ったコースは2カ所。1つ目は高低差約30mの皇居(1周約5km)。2つ目は高低差約25mの赤坂御所(1周約3.3km)。皇居は3周、赤坂御所は5周走るのが定番で、キロ4分30秒を目安にしていました。坂ではハムストリングスや臀部に刺激が入っている感覚がありました。また、みなとの見える丘公園周辺、お台場などの強風エリアを走ることで、メンタル的に強くなりました。こうした走り込みを1人でできたのは、30歳頃から始めた税理士への試験勉強で培った粘りのおかげかもしれません。
今後もサブスリーを継続していくため、最近はさらにキツい坂を求めて南多摩で高低差100mの峠を15km走っています。
山田真治さん
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高野忠臣さん(52歳) 2時間58分35秒(24年長野)
年間走行距離:4624km
コロナ禍の2020年(48歳)に走り始め、22年の初フルは3時間49分(松本マラソン)で完走。当時から現在もランナーズをバイブルに地元・長野の峠を中心に1人で走っています。
サブスリーを目指し始めて考えたのが「毎週の坂道ロング走で脚力に負荷をかけること」です。それまでは月に一度、キロ5分で20kmを走る程度でしたが、LSDで30km峠走を月4回走ることにしました。1人だとハイペースのロング走は難しいのですが、LSDなら無理なく毎週できます。これによって、月間走行距離を400km近くに増やせました。
長野県は走る環境には恵まれており、自宅から乗鞍高原の1700m地点まで車で行き、2600m地点までの上り坂15kmを走り、帰りは下って往復しました(計30km)。勾配がキツイ所はほぼ歩いているような状態ですが、脚筋と心肺機能に負荷がかけられていると考えました。周回コースと違って山中の往復コースは逃げられません。
ランナーズ24年2月号の特集『ロング走革命』にあった、「キロ7分以上のLSDはランナーの器を大きくする」を読んだときは、その通りの練習をしてきたのでうれしくなり、サブスリーへの自信を深めました。月4回の山中LSDを取り入れてからは自己ベストを連発、24年の長野マラソンで念願のサブスリーを達成しました。
高野忠臣さん
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草薙道一さん(65歳) 2時間59分41秒(24年みえ松阪)
年間走行距離:4991km
48歳をはるかに超える65 歳で初サブスリーを果たした草薙道一さん。週に3日激坂コースを走ることが脚力強化につながったといいます。
2024年12月のみえ松阪マラソンで65歳にして初サブスリー(2時間59分41秒)を達成した草薙さんの昨年の年間走行距離は4991km。月400km以上をコンスタントに続けた計算だ。練習の大半を「激坂でのジョギング」にする工夫で、3時間切りに結び付けた。
走り始めたのは57歳。初マラソンは17年11月の大阪マラソンで4時間30分。徐々に記録を伸ばし、23年4月のぎふ清流ハーフマラソンを1時間24分で走った頃から、サブスリーを意識するようになった。
「当時63歳。サブスリー47歳限界説は知っていましたが、その年齢を超えても達成者はいた。だから、自分だってできるはず! と思っていました」
23年10月の金沢マラソンの後半に脚がつり、タイムは目標に届かない3時間30分2秒だったことが転機となった。
「脚力不足を痛感し、ランナーズで紹介されていた坂道ランを行うようになりました」
近所に片道1.5km、斜度は8~10度くらいの激坂がある。週4~5回の練習のうち、3回はここを3~6往復した(約10~20km)。ジョギングが中心で時々軽くペースアップするという。
「初めて走った時はゆっくり1回往復するだけでゼーハーしました。しかし、続けるうちに往復できる回数が増え、周りから『脚が強くなってきたね』と言われるようになりました。脚力強化はもちろん、坂道を走るとお尻とハムストリングスをぐっと使う意識が生まれ、ランニングフォーム改善にも効果がありました」
走行距離を増やしたらダメージの回復が早くなった
水曜日は練習会に参加。仲間たちと12kmのベース走やビルドアップ走(キロ4分40秒~3分50秒)を行っている。
「競技場には練習開始の1時間前に着いて、動きづくりを行います。ランニング系ユーチューバーの動画を見て勉強し、いろいろ試しているんです」
ハードな練習をこなすため、自宅では時間があれば青竹を踏んで足裏をケア。栄養面では「疲労回復のために、妻に頼んで2年間ほぼ毎日鶏むね肉をメニューに加えてもらっています」
この効果か故障なく練習を継続でき、昨年1月から増加させた月間走行距離も最高460kmまで延びた。
「この年齢では何よりトレーニングの継続が重要だと考えています。それにはケアと同時に走り込みも重要。距離を走ることで回復力が上がって、練習会のダメージも早く抜けるようになりました」
昨年12月のみえ松阪マラソンで、ゴール前の上り坂で苦戦したものの、念願の3時間切りを果たした。
「30km地点で脚に余力があり、坂道走と走り込みの成果が出たと感じました。自分にできることを積み上げていき、自分がどこまでいけるのかを、まだまだ追求していきたいです」
草薙道一さん
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