※本記事は『ランナーズ2026年9月号』掲載内容になります。
今年も夏がやってきた。これからの時期、日差しの強い昼間走ることはとてもではないが難しい。では、いつ走るべきか。候補となるのは「朝」と「夜」の2つだ。朝は一日の中で最も気温が低く、地面も熱を持っていないので走りやすい。夜は直射日光がないので肌がダメージを受けず、時間もたっぷり使える。どちらにもメリットはあるため、大切なのは自身が走りやすい時間を選び、夏でもランニングを継続することだ。本企画では、朝ラン派と夜ラン派が実践談を通してそれぞれの利点を紹介。さらに、練習効果を倍増させる方法や、お悩み解決法も解説する。
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時間の前に、そもそもなぜ夏走るべきなのか。サブスリー研究者の髙山史徳さんに解説して頂いた。
暑い夏は走る意欲が落ちる方も多いと思いますが、近年、暑い中で走ることには高地トレーニングに近い効果が期待できる可能性も示されています。
よく鍛えられたランナーを対象とした研究では、週5回、4週間の暑熱トレーニングによって、血液の水分(血漿量)が増え、赤血球を作る刺激となるエリスロポエチン(EPO)や、酸素を運ぶヘモグロビンが増加しました。EPOの分泌によって赤血球が増えるというのは、トップ選手たちが高地トレーニングをする狙いの一つ。市民ランナーで長期間高地トレーニングをできる人は多くないと思いますが、夏の暑さをうまく使えば、良い刺激を身体に入れられる可能性があります。さらに、この研究では、深部体温が上がりにくくなり、発汗量も増え、ランニングエコノミーも向上していました。
今年の夏は、「暑さに負けている」のではなく「身体が鍛えられている」と前向きに捉え、水分補給や強度調整を忘れず、朝や夜など少しでも走りやすい時間帯を選んで、暑さを味方にしていきましょう。
たかやま・ふみのり/民間企業に勤務しながら、現在も論文執筆を行う研究者。今年の別府大分マラソンでは2時間48 分18 秒を記録
出典: Xu et al. Front Physiol.16:1581594, 2025.
ランニングアプリTATTAの利用者が昨年の夏(7~8月)と冬(1~2月)のどの時間に走っているのか分析したところ、夏の休日は走り始める時間が早朝の6 時台、5 時台、7 時台の順に多かったのに対し、冬は9時台、10 時台、8 時台の順と全般的に遅くなっていた。なお、夏の平日は5 時台、18 時台、19 時台の順で早朝と夜に二分している。
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私が朝ランを好きな理由
朝ラン派のランナーになぜ朝走るのか聞いた。
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6月30日、午前2時からワールドカップの日本対ブラジル戦を観る。4時過ぎ、試合終了のホイッスル。多くの人がここから再び寝床についたのだろうが、日本敗退の悔しさもバネに、そのまま着替えて外へ。明るくなり始めた東の空に向かって、多摩川の河川敷へと走り出した――。
こんな特別な日を持ち出すまでもなく、自分は完全に朝ラン派である。つまり朝型人間だ。寝坊の記憶はほとんどない。一方、徹夜は苦手で、カンテツ(完全徹夜)などもってのほか。学生時代からカラオケやマージャンの「オール」についていけなかった。
もちろん、夜に走ることもある。最近の夏の酷暑は早朝でも厳しい。ただ、朝と夜どちらが好きかと聞かれたら、迷いなく朝を選ぶ。だから、「朝推し」の理由ならいくつも並べることができる。
早朝からしっかり走ろうと思えば、前夜は深酒を避けて早く寝ないといけない。おのずと体調も良くなる。
朝の静寂はランニングの集中を高めてくれる。車の音や生活音が少ない分、自分の刻むリズムに意識が向かう。普段なら気づかない鳥の鳴き声や、川を流れる水の音も新鮮だ。「こんなおしゃれな家、あったかな」と足を止めたくなることもある。
5〜6時に走り出せば、走り終わってもまだ7時。今日という1日はたっぷりある。予定の詰まっていない日なら「何をしようか」と心が浮き立ち、仕事で忙しくても気持ちにどこか余裕が生まれる。
そして、実はこれこそが朝に走るモチベーションかもしれない。箱根駅伝を目指す駒澤大学、國學院大學の選手、マラソンの平林清澄選手に時折遭遇することだ。トップランナーと同じ時間に起きて走っていると思うと、自分まで少しだけストイックな人間になれた気がする。50代になって、さらに朝型人間になってきたようだ。
「朝起き千両夜起き百両」「一日の計は朝(あした)にあり」「The early bird catches the worm」……。古今東西、朝の価値を尊ぶことわざには事欠かない。夏の早起きの先に、秋レースの快走が待っていると信じて今日も走る。
文/山口大介 やまぐち・だいすけ(52歳)日本経済新聞で20年以上スポーツを取材。フルマラソンは11回挑戦(全完走)してベストは3時間54分34秒。今秋は横浜マラソン、湘南国際マラソンにエントリー
以前は夜にスピード走をしていましたが、マラソンのスタート時間に身体が動くようにするため、今は全ての練習を朝行っています。季節によって開始時間を変えており、夏は朝5時から。夏の早朝は空気が澄んでいて、路面も温まっていないので、1日で最も走りやすいと感じます。街中や公園に人が少ないというのもいいです。冬より身体が動きやすいので、スピードも上げられます。僕は10~20㎞程度走ることが多く、汗をかいて代謝が上がると気分がスッキリするので、仕事の集中力も高まります。ですがやり過ぎるとトークなどカミ倒すのでそこは調整します(笑)。夜は家族との時間にしたり、疲れていたら銭湯で交代浴をしたりしています。
暑さに負けないためには1 分でも早くスタートしたいので起きてボーッとしている暇はありません。時間がない人こそ、夏は朝ランを効率的にレーッツランニング!
宇野けんたろうさん(44歳、自己ベスト2時間33分のランニング芸人)
4 時起床で4 時45 分頃から走ります。日中よりも暑くなく、走った後に汗を絞るのが気持ちいい。前の晩はお酒を飲まずに気合いを入れます。
三輪昌弘さん(65歳・3時間59分8秒)
走る格好で寝て、朝起きてすぐ走れるようにしています。1日の中で涼しい時間なので、暑熱順化が緩やかに行えます。その日1日達成感と満足感があります。
橋田勇人さん(54歳・3時間46分41秒)
朝の方が気持ち良い。脂肪を燃やすため、MTCオイルを入れたコーヒーを飲んで走ります。昨年7月から朝ランを始めて3カ月で6㎏痩せました。
小林俊之さん(69歳・4時間6分20秒)
朝5 時前ぐらいから走っています。涼しいので、夏場でも走行距離が減りません。そして1日が長く感じ、時間に余裕ができます。
森山小夜さん(52歳・4時間55分32秒)
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脳のリミッターをはずして速くなる!
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