※本記事は『ランナーズ2026年4月号』掲載内容になります。
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本誌取材によるとフルマラソンにおけるエネルギージェルの摂取量は多くのランナーが3 個以内。ところが、このエネルギージェルの摂取量を増やすとフルマラソンのタイムが縮まることを示したデータがあります。摂取するタイミングから最新の製品、収納に適したウエアやグッズまで、エネルギージェルの力でマラソンを快走する方法を伝授!
サブスリー研究者の髙山史徳さんは「エネルギージェルは少なくとも3個、できれば6個はとるべき」と語ります。
90分以上の持久的な運動では体内のグリコーゲンの減少がパフォーマンスを落とす(ペースダウンする)要因になるというのは、皆さんもご存じだと思います。そして、研究の世界では以前より、運動中にエネルギージェルなどで糖質を補給することがパフォーマンスを向上させると明らかになっており、私は「多くのランナーにとってマラソンレース中の糖質補給量(ジェル摂取量)を多くすることが、タイム向上に直結する」と考えています。
根拠の1つになるデータを1つ挙げます。海外の研究で、10㎞のタイムが同レベル(45分40秒前後)のランナーを2つのグループに分け、片方のグループはマラソンで20分ごとにエネルギージェルを摂取、もう1つのグループは自由にしました(後者の糖質摂取量は前者の約6割)。その結果、ジェルを多く摂取したグループの平均タイムは3時間38分31秒と、摂取量が少ないグループより10分以上速くなっていたのです。
これ以外にも糖質補給量をそれまでより増やして1時間あたり約60g(ジェル2~3個分)にしたところ、2時間15~16分のランナーが2時間11~12分になったという研究もあり、幅広いレベルのランナーにとってレース中の糖質を増やすことは有効だと分かります。
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なぜ速くなるかという点ですが、エネルギー切れを防ぐということ以外に「終盤まで高いランニングエコノミーで走れる」ということがあります。一般的に同じ速度で走る場合は糖質をエネルギーにした方が脂質をエネルギーにするよりもランニングエコノミーは高くなります。フルマラソンのレース中は時間とともに脂質をエネルギーにする割合が高まってきますが、最近の研究では走りながら多くの糖質(エネルギージェル)をとることで、その糖質をエネルギー源にできる(=消費エネルギーにおける糖質の割合を高く保つ)ことが分かっています。つまり、多くのエネルギージェルをとった方が終盤まで効率のいい走りをキープできるのです。
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ただし、いきなりこれらの研究のように20~30分に1個のエネルギージェルをとると胃腸トラブルの可能性が高まり、重量の関係でもハードルが高くなります。そのため、今までエネルギージェル摂取が0~2個だった人は、まずは1レース3~4個とることをお勧めします。その際は体内のグリコーゲンを節約する意味でも8~10㎞ごと、こまめに摂取するようにしてください。すでに4個以上とっている人は、プラス1、2個が目安となります。 ポケット等の関係で4個持つのが限界という方は、スポーツドリンクやエイドにあればコーラなどでも補うといいでしょう。
なお、レースまで2週間以上ある人に行ってほしいのがロング走やペース走でもエネルギージェルをとることです。これは「ガット(胃腸)トレーニング」として知られており、消化管耐性をつけて腹痛が起こる可能性を低くするとともに、外部からの糖質をエネルギーにする能力が高まります。最初に紹介した研究でジェルを多くとったランナーたちはこの胃腸トレーニングを行っており、「マラソンで補給できる糖質量のキャパシティ」を拡大しています。 事前に糖質を補給できる能力を鍛えておき、本番でエネルギージェルをこまめに摂取すれば、「伸びしろがなくなってきた」と感じている方々でも再びタイムを向上させられるかもしれません。
エネルギージェル活用法 ※レース間際の人は②~④だけでOK
❶ 練習のロング走やペース走でも定期的にエネルギージェルを摂取する
❷ フルマラソンではまずは3~4個摂取
すでに4個以上とっている人は+1~2個
❸ 終盤にまとめてとるのではなく、
7~10㎞ごとや30分ごとなどこまめに補給する
❹ エネルギージェルを多く携帯できない人は
スポーツドリンクやエイドの補給食、コーラなどで糖質を補う
髙山史徳さん/民間企業に勤務するサブスリー研究者。自身も2025年2月の別府大分マラソンではエネルギージェルを5個補給、2時間48分18秒のセカンドベストを記録した。
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