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今年のニューイヤー駅伝5位! 地域密着型スーパーは駅伝を通じて幹部候補を育成 実業団「サンベルクスの挑戦」③

2026年3月01日

日本新ペースで大阪マラソン独走
「走り出すと狼のようになる」吉田響選手(23歳)

沿道の声援に応えながら大阪マラソンで首位を独走した吉田響選手© 大阪マラソン2026
沿道の声援に応えながら大阪マラソンで首位を独走した吉田響選手© 大阪マラソン2026

2月の大阪マラソンで37㎞過ぎまで首位を独走した吉田響選手は、サンベルクス所属のプロランナーだ。

筋肉の動きを良くするという愛用の黒いテープを身体の100カ所以上に貼った異様な姿でスタートすると、8㎞手前でペースメーカーを置き去りにし、35㎞まで日本記録を上回るペースで突き進んだ。終盤の失速で2時間9分35秒に終わり、ゴール後は車いすで救護室に運ばれることになったものの、吉田響選手の独走、快走、怪走が大阪マラソンの話題を独占した。25年春のプロランナー転向に際し、吉田選手はこう語っている。「プロとしてやっていくには、いいタイムを持っているだけでは難しい。スポンサーを集めるには知名度、インパクトが必要だと思う」

大学1年からクロスカントリーコースでの練習を軸にしてきたことから、他に類を見ないロードレースとトレイルランニングの「二刀流」を宣言し、「フルマラソンの初戦から日本記録を狙える状態にして、皆さんを驚かせたい。そのくらいでないと世界と闘えない」と話した。その発言を踏まえると、初マラソンだった大阪の衝撃的な走りは筋が通っている。

サンベルクスの田中正直総監督は「本気で日本記録を狙いにいっていた。2時間3分、4分を目指すにはあれが当たり前のペースと本人は思っていたはず。無謀な走りと評価するのは間違っている」と言う。その田中総監督は「駅伝でゲームチェンジャーになれる選手が欲しい」と願っていた頃、吉田選手との契約の話が舞い込んだ。初めて吉田選手と会った日に「僕のすべてを懸けてサポートしていきたい」と伝えると、「こんな僕にそんなことを言ってくださるなんてうれしい」と応じたという。

25年の箱根駅伝2区で13人抜きを演じ、日本人歴代最高記録を残した。サンベルクスが過去最高の5位入賞を果たした今年のニューイヤー駅伝の2区では22人抜きで区間新記録。田中総監督は「あれだけの選手なのに常に謙虚で、おごりがない」と感心する。サンベルクス陸上部の本体と離れ、東海大学時代に指導を受けていた瀧川大地コーチとともに横浜を拠点に活動するが、合宿にはほとんど参加し、他のメンバーと寝食をともにした。「普段は子犬のようなのに、走り出すと狼のようになる。『ウルフ』と呼ぶ時もあります」
大阪マラソンでは観衆に盛んに手を振り、ピースサインを贈った。その一方で、給水の紙コップは投げ捨てず、きちんとゴミ箱に入れようとした。駅伝直後の1月上旬には「西東京30K」のゲストとして市民ランナーと30㎞を走り、トークショーでも心のこもった対応をした。それらは謙虚さとともに、強いプロ意識の発露なのだろう。

マラソン未経験だったプロ宣言時に「目標は28年ロサンゼルスオリンピックのマラソンのメダル獲得」と当然のように口にした。そこに至る歩みで、また注目を一身に浴び、世間をざわつかせる予感がする。

文/吉田誠一 写真/小野口健太





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