※本記事は『ランナーズ2026年5月号』掲載内容になります。
|
マイクロソフトCEOのサティア・ナデラ氏は毎朝5時に起床し、まずジムに向かうという。「どこにいても、どのタイムゾーンにいても、どれだけ遅く帰っても関係ない。どうにかこうにか起きてジムに行き、30分走るだけ。朝一番にね。これが本当に大きな違いを生む」(Podcast『HelloMonday』2023年1月より)。
日本で企業のトップを牽引するビジネスパーソンにも朝走ることを習慣とする人は多い。本誌連載「トップランナーのビジネス×ランニング」に過去登場した32人のうち、19人が「朝走っている」と語った。
再生医療関連事業を展開するセルソース株式会社をともに創業した山川雅之さん(61歳)と裙本理人(つまもとまさと)さん(42歳)も、朝ランを習慣とする。山川さんは「朝走ると仕事の初速が違う」といい、裙本さんは「朝の時間の使い方によって、仕事、人生そのものの結果が大きく変わると言ってもいい」と断言する。
文/近藤雄二、吉田誠一、編集部 写真/小野口健太
|
■裙本理人(つまもとまさと)さん
GOODNEW株式会社代表取締役社長CEO
セルソース株式会社Founder/顧問
■山川雅之さん
セルソース株式会社Founder/代表取締役社長CEO
■セルソース株式会社
再生医療関連事業を中心に、医療現場が抱える課題の解決と、患者一人ひとりのQOL向上に貢献するバイオベンチャー
――お二人とも朝走る習慣をお持ちです。朝走ることにはどんな良さがあるでしょう。
山川 僕は夜10時には子どもと一緒に寝て、朝6時、朝日とともに起き、ほとんど毎朝、走ったりプールで泳いだり、運動をします。朝日を浴びるとセロトニンが分泌されて気持ちがいい。自己イメージが高まります。朝の時間はすごく重要。考え事をするにも貴重な時間です。
裙本 僕も6時に起きて、週3~4回10㎞弱、走ります。朝出社してパソコンを立ち上げてからが仕事、と思っている人が多いとしたら、それはすでに起床からの3時間、ロスしていると思うんです。ベッドから出てすぐに走りに行くと頭が起きるし、そこで考えたことが、着替えながら、シャワーを浴びながらさらにブラッシュアップされて、パソコンを前にしたときには、もうやるべきことがすらすら出てくる状態。朝の時間の使い方によって、仕事、人生そのものの結果が大きく変わると言ってもいいと思っています。
山川 マラソン大会の日もスタートの3時間前には起きて準備をしますよね。それと同じで、出社ギリギリに起きて活動を始めるのと、6時からスタートしているのとでは初速が違ってきます。
――朝走る、運動することを習慣化するポイントはありますか。
裙本 スケジュールに入れることです。たとえば6時に起きて6時半からランニングや筋トレをする、というふうに一年先までオンラインのカレンダーに入れてしまう。もう一つ重要なのが、夜何時に寝ても起きる時間を一定にすることです。10時に寝ても12時に寝ても起きるのは6時。そこはぶらさないことです。
山川 人間は習慣の生き物だから、3カ月続けたら、あとは自動化されて苦痛でなくなります。やらないと気持ち悪くなる。あと強力なのは、外部の強制力。朝、走ろうとみんなと約束したら守りますよね。それも一つのステップです。僕は15年ほど前から会社の幹部と週1回、朝一緒に走りながら〝ランミーティング〟をやっています。
――セルソース創業の構想も、朝走りながらブレストして固まったそうですね。
山川 2014年7月のフランクフルトのトライアスロン大会の打ち上げで、一緒に出場していた裙本君(当時は住友商事勤務)と、近々、再生医療法※が制定されるので、そこにビジネスチャンスがありそうだという話題になりました。帰国後、本格的にこれは面白そうだということになったので、裙本君にもランミーティングに加わってもらい、構想を練り始めました。
裙本 住友商事を辞めて、僕が山川さんのグループにジョインしたのが15年1月です。会社設立が11月30日なので、わずか11カ月で構想を固めたことになりますが、朝のランミーティングで事業の根幹となる部分や根本的な考えを共有し、考え方のOSが一致していることを確認できたことが大きいと思っています。朝日を浴びて汗をかいて、同じテンポで走りながらブレストするとポジティブな発想が出てきます。
山川 身体の使い方と心の動きは連動しています。スキップしながら悲しいことは考えませんよね。ポジティブな身体の使い方をしているとポジティブな意見や発想が出てくるんです。それに、走りながらだと無駄な話ができないので、話の質が高まります。気持ちが同期して一体感も生まれます。仕事はチームワークなので、そういう意味でいい効果があると気づいて、ずっと継続しています。
――具体的にどのように行っているのですか。
山川 よほど天候が悪いとき以外は毎週木曜日の朝7時15分に幹部4人が代々木公園に集まって、ブレストをしながら1時間、10㎞ほど走ります。ペースはキロ6分くらい。走りながらのブレストは頭がフル回転していて、1人で走っているときより時間が短く感じます。家から代々木公園まで走ってくる人もいますよ。ジムなどでシャワーを浴びて着替え、9時には出社します。
――仕事をしていく上で、ご自身が走ることはどんな意味を持っていますか。
山川 少子化が進む日本では、健康寿命を延ばし、さらには就業の年齢も上げていかなければ社会が成り立たなくなります。長く働ける社会にしなければいけません。当社はそういうテーマに関する調査もやっていますが、まず自分自身がそれを体現していく必要があると思っています。僕は今61歳ですが、同年代のビジネスに従事する人に比べると、頑張りがきくというか、元気だという実感があります。
裙本 僕は26歳から先輩経営者の方に交じってトライアスロンを始めたんですが、自分自身もすごく成長できましたし、運動が中心にある先輩たちがビジネスで飛躍していく姿を間近で見てきました。今後は、今まだ走る習慣がないけれど、今から起業でチャレンジする若い世代の人たちに、走ること、運動習慣が、仕事をしていく上で大きな効果をもたらすことを発信していきたいと思っています。
――裙本さんは1月末にセルソースの取締役を退き、現在は新規事業立ち上げの準備をされているとお聞きしました。
裙本 新しい事業の構想も朝走っている間に浮かんできて、徐々に、考えがまとまってきたところです。
※再生医療等の安全性の確保等に関する法
※こちらから記事検索ができます。

ランナーズ9月号 7月22日発売!
脳のリミッターをはずして速くなる!
「僕は脳のリミッターをはずすことができるから、力を出し切れる」。1月のニューイヤー駅伝で22人を抜いたプロランナー・吉田響選手はそう語ります。「失速の原因は脳がブレーキをかけること」という理論を度々取り上げてきた本誌は今回、吉田響選手に「吉田流・脳のリミッターのはずし方」を徹底インタビュー。ランナーの実体験から、ランナーが脳のリミッターをはずして持てる力を最大限に発揮する方法を学びます。
ジョグジョグが聞く、教えて! あなたのMy Run, My Peace
純烈・後上翔太
50周年記念キャラクター・ジョグジョグが、走ることの魅力を探る連載第7回。今回は、歌謡コーラスグループ・純烈のメンバーとして、全国各地の温浴施設でも数多くのステージに立ってきた後上翔太さん(39歳)。「お風呂とマラソンの相性は最高。銭湯×ランニングの親善大使になりたい」と語る後上さんのランニングライフを聞きました。
夏を制する黄金タイムは?
朝ラン vs 夜ラン
これからの時期、日差しの強い昼間走ることは、とてもではないが難しい‥‥‥。では、いつ走るかというと、候補となるのは必然的に「朝」と「夜」の2つ。本企画では、朝ラン派と夜ラン派が実践談を通してそれぞれの利点を紹介。さらに、練習効果を倍増させる方法や、「朝起きてすぐに走り出しても大丈夫?」「夜にスピードを上げて走ると、その後なかなか眠れない」などのお悩みに専門家が答えます。
本誌購入は年会費7,800円「ランナーズ+メンバーズ」がお勧め!
「ランナーズ+メンバーズ」は毎月最新号が自宅に届く(定期購読)だけでなく、「デジタルで最新号&2011年1月号以降が読み放題」「TATTAサタデーランが年間走り放題」「会員限定動画&コラム閲覧可」のサブスクリプションサービス! 年会費7,800円の超お得なプランです。
※こちらから記事検索ができます。