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プレイバックランナーズ 100kmのゴールへ導くウルトラマラソン完走法③

2026年2月01日
岩本さんバックナンバー誌面
岩本さんバックナンバー誌面

【私のウルトラ論】岩本能史「自分のポテンシャルを知ることで『未体験の距離の壁』と向き合う精神的な支えになる」

(2010年5月号)

スパルタスロン(ギリシャの246㎞レース)やバッドウォーター・ウルトラマラソン(アメリカの217㎞レース)などの超ウルトラマラソンも走破してきた岩本能史さんは「フルの走力を土台に、必要な要素を強化すれば月間200㎞前後でも100㎞完走は可能」と語った。

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「距離は倍、感動は10倍」
初めてフルマラソンを走りきった時の気持ち、思い出してみてください。100㎞完走の暁には、その倍はおろか10倍の感動が待っています。
初ウルトラや前回リタイアの人は「42㎞のフルとは別モノ」と感じているかもしれません。しかし現時点でフルを4〜5時間で完走できる走力があれば、100㎞完走のポテンシャルは十分。フルの走力を土台に「ウルトラに必要な要素」を効率的に強化すれば、月間200㎞前後であっても100㎞完走は可能です。
ウルトラの対策として、練習で100㎞を走れる人は少ないでしょう。ほとんどの人がレース終盤「未体験の距離の壁」と向き合うことになります。身体的な疲労が蓄積した状態では、人は精神的に弱気になります。そんな時、「自分は100㎞を制限時間内で走れるポテンシャルを持っているはずだ!」という根拠があれば、自分を信じる精神的な支えになります。その、100㎞完走の基準タイムを導き出すのが下の公式(指導経験から統計的に導き出した目安)。自身の基準タイムが13時間で制限14時間のレースであれば、「1時間」をボーナスタイムとしてエイドや道中で安心して過ごせますし、目標の基準タイムから逆算して、「走行距離を延ばしてみよう」というモチベーションにもなるでしょう。


 岩本流公式で導き出す100㎞完走の基準タイム
岩本流公式で導き出す100㎞完走の基準タイム

岩本流公式で導き出す100㎞完走の基準タイム
(直近のフルのタイム)×(走り込み係数※)=(100㎞完走の基準タイム)
※レース10日前までの100日間で走った走行距離から導き出される係数
例)レース直前100日の走行距離が600㎞(月間約180㎞ ) で、フルベストが4時間20分の人
4時間20分×3.0=13時間
係数/走行距離
2.7/1000㎞
2.8/800㎞
2.9/700㎞
3.0/600㎞

100㎞という距離は言い換えれば、5㎞×20回、10㎞×10回です。日頃から、目の前の5㎞を5㎞として終わらせてしまうか、積み重ねが100㎞になることを意識して走るかで大きな違いになります。精神的な要素だけでなく、ウルトラの練習は、週単位、月単位で意識して身体を作っていくイメージが大切になります。

衣笠さんバックナンバー誌面
衣笠さんバックナンバー誌面

【私のウルトラ論】衣笠明宏「100㎞も走れば多かれ少なかれ痛みや苦しさは絶対にくる。それをいかに想定し、事前対策をするか」

(2012年4〜7月号)

実業団時代にニューイヤー駅伝に7度出場。引退後、実業団チームの監督を務め、2010年にEBSランニングクラブを設立し、市民ランナーの指導を始めた衣笠明宏さんは「メンタルが大きな役割を果たす100㎞レースでは、ポジティブな思考が力を発揮する」と主張した。

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100㎞のトレーニングで重要なのは「イメージする力」です。人間、100㎞も走れば多かれ少なかれ痛みや苦しさは「絶対」にきます。大切なのは、それらをいかに想定し、事前対策をするかです。特に100㎞の完走経験が無い人は、その場その場での身体の状態を基準にして走ると、後半になるにつれてどんどん辛くなるので、「この後、どうなってしまうのか」とネガティブな発想が頭を支配するようになります。逆に、予測しておく辛さの種類が多いほど、心構えができているので、レース中に慌てずにすみます。
私が実践しているのは、「5㎞では給水」、「10㎞では屈伸」など行動計画を決め、その通りに実行すること。これによって、「予定通り、順調だ!」「脚が重い?予定通りだ!」という思考を維持しやすくなります。また、10㎞先、20㎞先の「順調に走れている自分」を思い浮かべ、10㎞過ぎたら「思った通り、まだ余力がある!」と状況を肯定することも大切。メンタルが大きな役割を果たす100㎞レースでは、ポジティブな思考が力を発揮します。「前向きなイメージで、身体をひっぱる力」を意識してトレーニングすることが大切です。

規則正しい生活も重要な準備
100㎞を完走するためには、最終的に、フルマラソンよりも長い距離のポイント練習を行うことになります。しかし、内臓に疲れがたまっていたり、フォームのバランスが悪かったり、特定の筋肉ばかりを使っていたりすると、レース以前にトレーニングも十分にこなせなくなります。
特に大事なのが、内臓のコンディション。100㎞マラソンではレース中の補給が不可欠なので、内臓が弱って補給ができなくなるとエネルギー切れになってしまいます。また、ウルトラ対策のトレーニングは少なくとも3時間以上走ることになります。その間、内臓は上下に揺さぶられ続け、支えている筋肉も痛んでいきます。こうした負荷に耐えられるように、内臓は常に良い状態を保っておく必要があります。暴飲暴食を避け、規則正しい生活を心がけることも、100㎞の準備として重要です。

【私のウルトラ論】能城秀雄「必要なのは計画性と実行力。みなさんのビジネススキルを最大限に活かすことができる」

(2015年4月〜8月号)

サロマ湖100㎞ウルトラマラソンで過去3回優勝、2014年には100㎞世界選手権で日本勢最高の4位に入った実績を持つ能城秀雄さんは「100㎞レースは大人のスポーツ。自己完結力が競技力に直結する」と断言した。

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100㎞レースは「大人のスポーツ」だと思っています。なぜなら、自分のことは自分で責任を持つ「自己完結力」が競技力に直結するからです。私が世界選手権に出場した際、日本陸連のサポートがありました。ホテルの手配、食事の準備など、私は走るだけでよい状態でした。手厚さを心から感謝した半面、普段と異なる環境に試行錯誤しながら適応する自己管理の意識が薄らいだことに少し危機感を覚えました。100㎞レースは、当日の体調に合った対応ができるかどうかでレースの内容が決まるからです。
ウルトラマラソンの大半は早朝にスタートし、日が暮れる時間までが制限時間です。急激に気温が上がったり急に天候が崩れて大雨になるなど環境の変化や、蓄積していく脚への疲労に耐えながらフィニッシュ地点を目指さなくてはなりません。
疲労した状態でのレース中のアクシデントへの対応力は短期間で習得することはできないため、日常から100㎞完走を意識することが重要です。必要なのは計画性と実行力。皆さんのビジネススキルを最大限に生かすことができます。「自己完結力」を念頭におきながら練習を行い、完走の達成感を味わいましょう。

環境変化への対応力が醍醐味
100㎞完走には、脚力だけでなく集中力も必要です。トレーニングでも、この2つの力を養うために長い時間を走る必要があります。長い時間身体を動かし続ける練習は、へばった時にいかに粘れるか?につながるのでとても重要です。ただし、ロング走の時間を一気に2時間以上延ばすと、故障のリスクが高くなります。週末ごとに1時間ずつ延ばしていくくらいがちょうど良いでしょう。
100㎞マラソンは10時間以上屋外で活動し続けるために天気や気温の変化がパフォーマンスに大きく影響するという側面を持っています。これにどのように対応していくかが100㎞マラソンの醍醐味。事前に未知の世界を体感して身体にどんな変化が起こるのかを感じ、臨機応変に対処できる力を養うことが大切です。






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