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暑さは「脳」が決めている夏ランを変える暑熱対策ギア!①

2026年6月01日

※本記事は『ランナーズ2026年8月号』掲載内容になります。

夏に走るランナー

日本の夏はもう暑くて走れない――。それは半分正解だが、もう半分は脳のせいかもしれない。 本特集では「脳」をキーワードに、夏のランニングを快適にする最新の暑熱対策ギアを紹介する。 「暑さは脳が決めている」という脳の仕組みを逆手に取り、今年の夏を走り抜けよう。


暑熱対策ギア装着例
暑熱対策ギア装着例。日よけ付きキャップ 、寒色系サングラス 、通気性シャツ 、冷感アームカバー 、冷感タイツ

「脳を騙す!」 脳の仕組みを逆手に取る 限界突破の暑さ対策

極限環境でのレースを経験してきた岩本能史コーチ。気温50℃を超えるウルトラマラソン「Badwater 135」など、その暑熱対策の核心は「脳をいかに騙すか」にあると言います。

「Badwater 135」の舞台である米国カリフォルニア州のデスバレーでは最高で気温53℃を体験したことがあります。道路はサンダルの底が溶けるほどの高温になりますが、実は日本の暑さと比べるとそこまで辛くはありません。理由は湿度の違いです。デスバレーの湿度は10%程度なので、例えるなら「近くで焚火されているような暑さ」です。

一方、昨今の日本の夏では気温30℃以上、湿度は70%にもなります。汗の気化熱による体温調整が機能せず、例えるならお風呂に浸かりながら走っているような状態です。
とはいえ、秋以降のフルマラソンを目標にするランナーにとって、夏場は鍛錬期に当たります。涼しいジムでトレッドミルを走ったり、高原など避暑地で走り込みをできれば理想ですが、そういった環境が近くになかったり、時間的に厳しいという方もいるでしょう。中には夏場をオフと決めて、涼しくなってからトレーニングを再開する方もいるのではないでしょうか。
ただ、夏場に外を走るトレーニングをゼロにしてしまうと、ランナー体質(血液を体内の隅々まで循環させたり、汗をかいて体温を調節する能力)を元のレベルまで戻すのに時間がかかってしまいます。そのため、暑い夏でも無理のない範囲でトレーニングを続け、ランナー体質を維持することが大切です。

大事なのは、3日以上空けずに外を走ることです。夏は心拍数が上がりやすいため、ペースはジョギングかそれよりゆっくりでも、心肺や循環器に十分な刺激を与えられます。トレーニングが継続さえできれば、秋以降の大会に向けた十分な走力の土台を築けます。


夏ランに不可欠な「脳を騙す」技術とは?

夏ランをする上で最大のポイントとなるのは「脳」への対処です。暑い中で走っていると、長い時間走っていないのに、なぜか足裏が痛くなったり、腹痛が起きたりすることがあります。実は、これは「脳が走るのをやめさせよう」とするシグナルです。

脳にとって身体は唯一の乗り物なので、危険を察知するとすぐに、あの手この手で身体にブレーキをかけようとするのです。
私の経験では、脳は本当に危険な状態になるかなり手前からそういったアラートを出し始めます。逆に言えば、脳を「安心させる」ことができればブレーキを緩められます。私はこれを「脳を騙す」技術だと考えています(もちろん、脱水や熱中症などの症状を察知したときはすぐに中止することが重要です)。

暑さに対して、最も脳を安心させる方法が「首を冷やす」ことです。血液は体温が43℃近くなると正常に機能しなくなると言われており、これを防ぐために脳内では血液の温度が定点観測されています。そのため首を通る血液が冷えていれば脳は「大丈夫だ」と判断するのです。

首を冷やすために私がBadwaterで使ったのはバンダナでした。三角に折って氷を入れたものを頭に巻くことで、走りながらでも冷たい状態をキープできます。タオルやバフでも代用でき、近いものでは日よけのついたキャップも有効です。

ただ、暑さを脳に認識させるセンサーは身体中にあるため、直射日光を防いだり、通気性の高めるキャップや冷感素材のウエアといったアイテムを活用することも必要です。これらを駆使して脳が「大丈夫だ」と安心できる状態を維持すれば、いつもより快適かつやる気を持って夏のトレーニングができるようになるはずです。


猛暑を乗り切る! 岩本流 夏ラン 3原則

その1 3日以上空けずに外を走る
その2 ペースを上げず、ゆっくりジョグを継続
その3 冷感アイテムで脳を騙す(安心させる)


いわもと・のぶみ さん

いわもと・のぶみ
club MY☆STAR ランニングチーム代表。2003年スパルタスロン6位、11年「Badwater 135」5位、24時間走世界選手権出場3回。1966年生まれ。神奈川県出身。



脳に「大丈夫だ」と思わせる 暑熱対策

脳の仕組みを逆手に取り、「まだ大丈夫だ」と思わせる暑熱対策アイテムを紹介します。

商品解説:田中葵さん
スーパースポーツゼビオ東京御茶ノ水本店に勤務。学生時代は中長距離と競歩の選手。フルマラソンの自己ベストは2時間54分46秒。1980年生まれ。長野県出身。

協力/スーパースポーツゼビオ東京御茶ノ水本店
価格はすべて税込


首を冷やして脳を騙す

脳につながる首周辺は暑さ対策の最優先ポイント。走る前から冷やし、脳の警戒を緩めよう。



暑熱対策アイテムは主に生活雑貨の分野から毎年新しい製品が登場します。近年は保冷剤を凍らせて首に巻く「クールリング」が流行していましたが、今年は「首に巻ける氷のう」が増えました。アイシングなどに使う氷のうを首に巻ける形状に改良したもので、クールリングよりも冷たく、冷たさも長持ちします。移動中や走る前などに巻いておくことで暑さを感じにくくできます。

氷のうの他にも、ゲル状の保冷剤を内蔵したネックバンドや、シリコンの棒を凍らせて魔法瓶のように持ち運べる「氷のうボトル」、冷感素材を使った濡れタオルなど首を冷やすアイテムが充実しています。冷たさや大きさはそれぞれなので、目的や好みに応じて選べます。


「巻ける氷のう」で首から涼しく

「巻ける氷のう」が今年のトレンド
「巻ける氷のう」が今年のトレンド

■ZAMST
アイスバッグ首用 3,960円

未着用時よりも体感温度を20℃下げます。使わない時はコンパクトに折りたためます。

■Spazio
クールネック氷のう 2,970円

後頭部が太くなった形状で、日焼け防止にもなります。

■サンファミリー
エコクール首に巻けるアイスバッグ 2,178円

3つのストッパーで氷の位置を調整できます。ボタンでフィット感が変えられます。

■アルファックス
巻けるFIT氷のう 2,750円

氷をたっぷり入れられる容量900cc。氷が融けた後も冷水がうなじを冷やす構造で、冷却効果が長続きします。

■グローバルジャパン
氷のうボトル 2,600円

凍らせてボトルに入れておき、使用時に取り出します。魔法瓶構造で温まりにくく、19時間保冷できます。

■DUARIG
クーリングタオル 1,650円

冷感素材のタオルで、水にひたすと冷たさが増します。首に巻けるほか、UVカット機能で日焼け対策にもなります。

■COGIT
COOLOOPネックリング 3,499円

28℃を2時間保てるクールリングで、結露しないためウエアが濡れません。3時間持続するタイプもあります。

■サンファミリー
エコクールゲルネックバンド 1,628円

内蔵されたゲルが熱を吸い、そのまま首に巻くだけで体感温度が6℃下がります。冷蔵庫で冷やせば22℃下げられます。

■トレードワークス
保冷剤にもなる瞬間冷却パック 143円

叩くと薬剤が反応してすぐに冷たくなります。使用後は使い捨てずに保冷剤として利用できます。

■コーセー
エスカラット 極寒タオル5枚入り 550円

使い捨てタイプの冷感タオルです。薄くて軽いため、ランニング中に首にかけても邪魔になりません。冷たさは90分間持続します。

■BUFF
UV INSECT 551863 YEDY MULTI 4,840円

様々な形状で巻けるヘッドウエアで、ヘッドバンドの形にすれば中に氷も入れられます。軽量なので走行時も邪魔になりません。


「脳を騙す」岩本理論 首と背中を優先的に冷やすべし!

首と背中は太い血管が通っているので最優先に冷やすべきですが、それ以外の体表面は冷やし過ぎに注意してください。私の経験上、20℃以下の水や氷で胴体や手足を冷やしてしまうと、血管が収縮して体温のコントロール機能が極端に低下してしまう場合があります。暑いからといってむやみに氷水などをかけるのは避けたほうがいいでしょう。





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