ランナーズonline Premium

今年は完走率77.2%!(昨年58.4%)第41回サロマ湖100kmウルトラマラソン①

2026年7月01日

※本記事は『ランナーズ2026年9月号』掲載内容になります。

フィニッシュシーン
フィニッシュシーン
写真/軍記ひろし、青山義幸

気温14.4℃(昨年33.8℃)※午後5時のフィニッシュ地点

第41回サロマ湖100㎞ウルトラマラソン6月28日(日)北海道湧別町・佐呂間町・北見市


スタートシーン

昨年は30℃超え今年は最高21℃

「今年は涼しかったので自己ベストが出ました」という声も多く聞かれた第41回サロマ湖100㎞ウルトラマラソン。6月28日(日)、時折小雨が降る曇り空で気温12℃~21℃と、ランナーにとって好コンディションの中開催された。

出走3373人中、完走者は2603人。完走率77.2%と、昨年の58.4%から大幅に上昇した(制限時間は13時間)。近年は30℃超えの暑さの中でのレースが続き、昨年の午後5時のフィニッシュ地点の気温は33.8℃だった。一方今年の同時刻・同地点の気温は14.4℃と20℃近く低く、最も気温が上がった13~14時台で21℃だった(フィニッシュ地点)。

東京都から参加した武田典子さんは4年連続の出走。「昨年は氷とかぶり水がないと耐えられなかったですが、今年はカイロを持って走りました。後半お腹が冷えたので役立ちました」と話した。


96㎞で逆転し優勝したのは28歳システムエンジニア

男子トップグループは前半世界記録(6時間5分35秒)更新ペースのレース展開となった。最終盤の96㎞で逆転し6時間10分23秒で優勝したのは大阪府の会社員、大江剛俊選手(28歳)。システムエンジニアとして働きながら5月には月間1000㎞を走り込んだという。「序盤から首位と差がついていましたが、自分のレースプランを守って持てる最大限の力を出そうと思って走っていたら、最後に逆転することができました。今日に向けては、60㎞走を3月から4回行いました。そのおかげで終盤もいいペースを保てたと思います」


■大会結果
出走数3373人
完走数2603人
完走率77.2%
男子優勝 大江剛俊6時間10分23秒
女子優勝 丸一晃子7時間22分23秒
※100㎞種目のもの


ワッカ空撮

編集部出走記
「これがワッカか……大自然に放り出され果てしなく感じたラスト20㎞」

編集部の斎藤が初めての100㎞に挑戦した。
斎藤絵美(46歳)/フル自己ベストは2時間51分37秒(2025大阪国際)

  ・・・・・・・・・・

「新しい自分に会いに行きませんか」
本誌4月号ウルトラ特集で朝日新聞の西尾茂さんのコラムの 最後にあった言葉に後押しさ れ、1月 26 日のエントリー開始 日、サロマに申し込んだ。本誌 編集者として一度は100㎞を経験しなければ……。ずっと心の隅にあった使命感のようなものに、ついに向き合おうと決めた。もし走るなら、毎年本誌を飾るあの雄大な景色の中を走ってみたい。こうして初めての100㎞挑戦を決めた。

4月2週目から、サロマに向けた練習を開始した。目標タイムは、正直見当がつかなかったが、キロ5分ペース(100㎞8時間20分)とすることにした。 昨年のサロマで、弓削田眞理子さんがこのペースで走ったと聞いたからだ。自分の実力に見合っているのかは、全く未知数であったが。
6月末に向けて「毎週土曜にキロ5分で 30 ㎞走」「4月中に1回、土日連続 30 ㎞走」「5月中に60㎞走 」 を課 すことにした 。 もうひとつ、ロング走は「1人でやる」というルールも課した。本番、 特に後半は、1人で走る場面が多くなると想像したからだ。

5月は自身初めて月間500㎞超を走った。これはちょっと自信になった。とはいえ、6月28日が近づくにつれて、不安が膨らむ。フルは30 回近く走ったが、その倍以上の距離。まぁどうにかなるだろうという気持ちと、大丈夫だろうかという不安が、波のように押したり引いたりした。


まさかの台風

レース2日前、台風7号が日本列島に接近。そもそも飛行機が飛ぶのだろうか‥‥‥という心配に振り回されながら、無事現地に到着。100㎞に対する不安は、いつの間にか「良かっ た、無事スタートラインに立てる」という安堵に変わっていた。

28日朝5時、少し肌寒く、手袋をはめてスタートラインに立つ。昨年の話を聞いていたので、 暑さを心配していたが、かなり恵まれた気象条件の中、号砲を迎えた。湧別総合体育館前から、まずは約18.7㎞の第一折り返しを目指す。 10 ㎞を過ぎてしばらくいくと、右手に「サロマ湖」の看板。本当にあのサロマを走っているんだと、ここで初めて実感が湧いた。

30 ㎞はあっという間にきた。約35 ㎞~のオホーツク国道は道 路端を1列になって走る。目の前のランナーがちょうど良いリズムで走っていて、それについて4分50 秒前後のペースを楽に刻んでいく。左手に再びサロマ湖が見え、フルマラソンの距離を通過。このあたりから少しきつくなり始め、ちょうど良いリズムのランナーから離れてしまった。でもまだ、大きくペースが落ちたわけではない。まだ全然大丈夫、そう言い聞かせた。


上り坂で復活

50㎞過ぎ、ゆるやかな上り坂に入ると、前方のランナーが近づいてくる。1人抜き、2人抜き、あのちょうど良いリズムのランナーも抜くと、抜き際に「ナイスラン」と声を掛けられた。少し心が熱くなり、キツい局面を抜けて復活した気がした。西尾さんのコラムにあった「ウルトラは復活がある」とはこういうことなのか。

そこから間もなくして55㎞のレストステーション。左に曲がり、ドロップバックが並んだ台が見えると、馴染みのカメラマンを発見。言葉を交わすと、またひとつ元気が出た。経口補水液を含み梅干しを食べて再びコースへ出る。あと45㎞。ここまで、予定通りきている。あともう1回、キロ5分でフルマラソン、何かいけそうな気がする。不思議と根拠のない自信が湧いて、少しペースが上がった。

60㎞を過ぎ、これまで一度に走った最長距離を超え、いよいよ未知の世界へ。この辺りは「魔女の森」と呼ばれるそうで、うっそうとした静かな緑に覆われた真っすぐな道を、鳥の鳴き声を聞きながら進む。きっと40年前からずっと変わらない景色なのだろう。70㎞を過ぎ、いよいよキロ5分がきつくなる。肩周りがガチガチになり、脚は中殿筋にかなりきている。あと30㎞、もつのだろうか。「まだ大丈夫!」思わず1人叫んで、必死にもがいた。それでも80㎞まで、何とかキロ5分を刻んだ。そしていよいよワッカ原生花園へ。

サロマというと必ず聞く「ワッカ」。皆が口にする理由を、身をもって知らされた。海に挟まれた緑の大自然の中に放り出され、もう思うように動かない身体で、どうにかこうにか前へ進む。ペースはずるずる落ち、89㎞の折り返しまで、果てしなく感じた。でも自分の脚を前へ進められるのは、自分しかいない。空撮のワッカの写真が頭に思い浮かび、あの点のようなランナーのひとりになった自分を、もう一人の自分が空から俯瞰しているような、不思議な気分になった。最後の20㎞は、本当に長かった。

8時間25分34秒でゴール。感動より、とにかく未知の旅を無事終えた安堵を感じた。
1週間たってまだ、初フル以来の激しい筋肉痛‥‥‥新しい世界に足を踏み入れた余韻は続いている。





※こちらから記事検索ができます。

ランナーズ9月号 7月22日発売!


脳のリミッターをはずして速くなる!

「僕は脳のリミッターをはずすことができるから、力を出し切れる」。1月のニューイヤー駅伝で22人を抜いたプロランナー・吉田響選手はそう語ります。「失速の原因は脳がブレーキをかけること」という理論を度々取り上げてきた本誌は今回、吉田響選手に「吉田流・脳のリミッターのはずし方」を徹底インタビュー。ランナーの実体験から、ランナーが脳のリミッターをはずして持てる力を最大限に発揮する方法を学びます。

ジョグジョグが聞く、教えて! あなたのMy Run, My Peace
純烈・後上翔太

50周年記念キャラクター・ジョグジョグが、走ることの魅力を探る連載第7回。今回は、歌謡コーラスグループ・純烈のメンバーとして、全国各地の温浴施設でも数多くのステージに立ってきた後上翔太さん(39歳)。「お風呂とマラソンの相性は最高。銭湯×ランニングの親善大使になりたい」と語る後上さんのランニングライフを聞きました。

夏を制する黄金タイムは?
朝ラン vs 夜ラン

これからの時期、日差しの強い昼間走ることは、とてもではないが難しい‥‥‥。では、いつ走るかというと、候補となるのは必然的に「朝」と「夜」の2つ。本企画では、朝ラン派と夜ラン派が実践談を通してそれぞれの利点を紹介。さらに、練習効果を倍増させる方法や、「朝起きてすぐに走り出しても大丈夫?」「夜にスピードを上げて走ると、その後なかなか眠れない」などのお悩みに専門家が答えます。



本誌購入は年会費7,800円「ランナーズ+メンバーズ」がお勧め!

「ランナーズ+メンバーズ」は毎月最新号が自宅に届く(定期購読)だけでなく、「デジタルで最新号&2011年1月号以降が読み放題」「TATTAサタデーランが年間走り放題」「会員限定動画&コラム閲覧可」のサブスクリプションサービス! 年会費7,800円の超お得なプランです。



※こちらから記事検索ができます。

「ランナーズonline」 一覧に戻る