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RUNNET TRAIL
開催日: 2015年9月6日(日)
開催地: 埼玉県越生町
ロング(50km): 出走383人、完走343人 / ミドル(30km): 出走293人、完走289人
リポート/加藤 純一さん
今年で第4回目の開催となるトレニックワールドinおごせ。
私が初めてトレニックワールド(NPO法人 小江戸大江戸トレニックワールドが手がけるイベント。以後.TW)に出会ったのは2年前のこのレースでした。それ以来、TWファンとなり、トレイルランといえば他のどのレースよりも優先し参加しています。その魅力は埼玉県西部の越生・飯能・秩父エリアを中心とした里山の素晴らしさに加え、ちょっとキツくて楽しいコース、そして何よりも運営スタッフとエイドの食べ物などのオモテナシと、誰もが嬉しくなる大会ばかりです。
今回はTWを代表するこの大会のリポートを通じて、その魅力が少しでも伝わったらいいな、と思います。
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黒山三滝からのキツく楽しい上り
朝8時半、会場のニューサンピア埼玉おごせをスタート。
トレニックワールドのレースは主に50kmと30kmのコースがあります。
通常私は50kmレースに出ることが多いのですが、今回はミドル30kmの部に参加したため、ある意味これまでのレースでは体験したことのないようなユトリ、幸せな気持ちでいつも以上に楽しんでスタートを迎えられました。
まずは越生梅林、あじさい道路を抜けて徐々に山へと入っていきます。レースは序盤9kmまでは緩やかなロードの上り。ロードが長いせいか10km地点の黒山三滝の入口あたりからトレイルに入る頃には人の流れもきれいに縦一列になっています。
標高270mくらいの黒山三滝から、標高600m近い第1エイド、傘杉峠(11.4km地点)まで一気に上るのはさすがにシンドイ。しかし傘杉までいく と、ミドル30kmの部では3分の1が完了!! 何と嬉しいことか、第1エイドで既に小さな達成感。ここではサクッと休んで次に向け出発。
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黒山三滝。ザーッと流れる滝の音を聴きながら
山を登り始めます |
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山へ登り始めはこんな感じから
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山での出会いや景色もトレイルの楽しさ
その先の標的は標高771mの関八州見晴台。
この大会では、ここまでの上りが前半戦のポイントとなります。上りきったところでプチ達成感。
いつもなら東京スカイツリーも見えるのですが、あいにくの曇り空で今回は見えず。しかしここでまたも休憩する私。
「よーし、ちょっと休憩しよっと」
その声に気づいたひとりのハイカーのおばさまが、
「あら休憩するなら写真を撮っていただける!?」
「もちろんです!!」(私)
「皆さん大会中だから急いで走っていっちゃうので」
うーん、あっさり休憩するのは自分くらいか…。
記念写真を撮って差し上げたら、お返しにこちらの写真もパチリ。
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先は長い。激しい登りは慌てず歩きます
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充実したエイドでは食べて座って休憩も楽しい
のんびりもしていられないので、次は飯盛峠から、越生トレイルの魅力のひとつ「グリーンライン」を走り抜け、第2エイド、ぶな峠(16.4km地点、標高約800m)を目指し気持ちよく進みます。
この辺りの峠から峠をまたぐルートは、越生エリア特有の緩やかに気持ち良く走れるナイストレイルです。ぶな峠に着くと今回の2分の1が達成となるので、エイドでは「いなり寿司」を3個も頬張ります。
毎度のことですがTWのレースはエイドが充実していることで知られており、一度出たら他のレースでは物足りなくなるという人もいるほど。提供される軽食も美味しいけれど、スタッフもまた明るく優しく居心地が良いのです。
私の場合はエイドでは5分以上は休憩すると決めているので、エイドの人とはいつも仲よし。「おいしい、おいしい」と言って食べるので、皆さんも喜んでくれ、本当に幸せなエイドばかりです。
この傘杉エイドでくつろぎ始めたので間もなく、今回のレースに一緒に参加している仲間2名とも合流できました。が、ここでは私が一足先に出発。
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サクサクふわふわしたこんなトレイルも気持ちいい
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第2エイドではその日の朝作り立てのいなり寿司が
振る舞われた |
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恒例いなり寿司は選手からも評判
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野生に返れる下りの爽快感
次に待つ第3エイド椚村(くぬぎむら)交流館までは、わずか3.2kmで300m近く一気に駆け下りる最高に気持ちのいいコース。トレイルランナーのヤマケン(山本健一)さんの本にも書いてありましたが、まさに“野生の自分”に返った気持ち。幅2m程度のトレイルをカンカン、サクサク飛び跳ねながら下っていく感覚は、トレイルを走ったことのある人にしかわからない爽快さです。
下りはスピードが出過ぎて転倒への恐怖感からスピードを抑えがちになり、往々にして本当のトレイルの楽しさを掴みきれていないケースがあります。自分もトレイルを始めて3年目のシーズンですが、今シーズンやっと下りの楽しさを感じることができました。
そんな気持ちであっという間に椚村エイドに到着すると、そこで待っていたのは「ソーメン」です。
「出たー!! やったー、待ってましたソーメン!!」
大喜びの私はここでも2杯ほど食べ、さらにドリンクコーナーを見るとそこには「100%マンゴージュース」があるではないですか!
マンゴー好きの私にとっては最高のサポート、携帯カップにもマンゴードリンクをいただき大満足。ソーメンを食べまくっているうちに、ついに仲間たちに追いつかれ合流。ここまでで、すでに19.6km走っています。ここからは残り10kmを、どれだけ楽しめるかがポイント。仲間がソーメンを食べるのを見届けて、3人一緒に再スタート。
ロードの下りからやがて大築山を抜けてしまうと、その先は練習会のように3人で下りトレイルを快走しました。
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気持ちの良い下りを颯爽と走る!
これがトレイルランの醍醐味 |
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越生の里山を味わいながら走ります
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第3エイドではソーメン。これがまた美味い! ごちそうさま
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樹齢1,000年の巨木の脇でフルーツポンチ
たどり着いた最終の大楠エイドは、26.3km地点。脇にそびえ立つ大きな楠の木は、なんと樹齢1,000年を超える天然記念物です。全国巨木ランキング16位、埼玉県第1位の楠の木は一見の価値ありです。
そんな楠の木のエイドでは、恒例の「フルーツポンチ」が振る舞われます。疲れきって糖を欲している身体には、これがまたサイコー! もちろんお代わりをさせていただきました。
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最終エイドがある樹齢1,000年の大楠の木は
越生トレイルの醍醐味です |
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最終エイドでフルーツポンチを提供してくれたスタッフの皆さん。ありがとー
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最終エイドを出てからは約4km先のゴール「ニューサンピア越生」に向けてロードを下っていきます。そしてゴールでは最近恒例になっているチームメンバーの肩組み同時ゴールでゲートをくぐり、固い握手!
8:30スタートで12:50ゴール。30kmのトレイルを4時間18分(男子40歳代 36位/109人中)で走りました。
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ロードの下りは、仲間と揃って気持ちよく走れた!
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仲間と揃ってゴールして、この大会のコースメイクを
担当した太田さん(写真右からふたりめ)と一緒に 記念撮影 |
30kmが短く感じましたが、それでも走り終えれば脚はパンパンでほどよい疲れが出てきます。そこで待ち受けているのがゴール後にもあるステキな食事とドリンクの数々。
ここまで出してくれて本当に良いのか? というくらいのオモテナシを受けた後は、大浴場の風呂に浸かり、仕上げのお疲れビールでカンパイとなります。
温かい運営のトレニックワールド
越生の周辺は、ほかにも里山の魅力を満喫できる素晴らしいコースばかりです。そしてTWは何より運営が素晴らしく、サポートするスタッフの方の温かさが伝わってくる素敵なレースばかりです。私はトレイルを始めてまだ3年ですが、昨年のTWのレースで念願のSTY(UTMF=ウルトラトレイルマウントフジの、静岡から山梨までの80.5kmのレース)の資格ポイントを獲得することができ、ありがたくも今年9月に開催されるSTYへの参加権をいただきました。
私の場合、決してタイムや順位だけを求めてトレイルを走ってはいません。ガツガツ走るときもありますが、里山の風景や時折す~っと吹き上げてくる風の心地よさ、キツい山を登りきった爽快感、下りの野生感など、自然の楽しさにたっぷり浸かることが好きです。山へ遊びにいくことで出会えた仲間、感じる喜び、その先の自分の目標、そんないいことがいっぱいあるからこそ、これからもトレイルは自分に欠かせないものになっています。TWから教えてもらった喜びを、ひとりでも多くの人にお伝えできたらいいな、と思っています。
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リポーター/加藤 純一さん(45歳)
埼玉県出身。トレイルラン歴3年。越生、飯能、多摩方面のトレイルが好きで、現在はトレニックワールドの試走会とレースを中心に出場。
「スピードランナーではなく、山の景色や空気、自然の中での爽快感を求めて山に遊びにいきます」
次なる目標は「STY」80km。
「一緒にトレイルをやってきた仲間との最大の目標です。目標に向けて進んでいく親をみて、子どもたちも何かを掴んでもらいたいなと思ってます」
トレニックワールド
⇒ http://www.trainic-world.com/