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走り込みの時期の食事の取り方とは?(PART1)

2021年12月03日


味の素株式会社がアスリートの栄養環境を改善するために開発した栄養プログラム「勝ち飯®」。その考え方を理解し、実践することが市民ランナーの走力アップにも大きくつながります。今回のテーマは走り込みの時期の食事です。疲労回復をスムーズに促し、練習を継続するためにはどんな点を意識して食べればいいのでしょうか? 管理栄養士として多くのアスリートの食事をサポートする柴田隆一さんにお話をうかがいました。


エネルギー源をしっかり取ることを意識する

走り込みの時期は言うまでもなく運動量が増えますので、しっかりとエネルギー源を摂取することが何より大切です。通常、1日の摂取カロリーは年齢にもよりますが成人男性であればおよそ2000~2400kcal前後、成人女性であればおよそ1400~2000kcalと言われています。そこにランニングで消費する分が必要になりますので、練習する日はプラス1000kcalくらいの意識を持ちましょう。

そう考えると、単純に1日の食事の約1.5倍近く食べないといけない計算になります。実際にそれを実践するのは難しいと思いますので、練習前や食事の合間におにぎりやゼリー飲料で補充していく形にすると、無理なくエネルギーを摂取することができるはずです。1日3回の食事でとり切れない分は「補食」として摂るというのが「勝ち飯®」の基本的な考え方です。

またエネルギー源となる栄養素は「糖」であり、これは主食であるご飯やパン、麺類などから摂取できるものです。走り込み期はご飯をやや多めに食べるなどの意識を持つことをお勧めします。


疲労回復のためのたんぱく質を忘れずに

走り込んだ後にはエネルギーが体内で枯渇しています。素早くそれを補給するために糖質の摂取が必要ですが、「勝ち飯®」では疲労回復のためにアミノ酸の摂取を勧めています。

アミノ酸とはタンパク質を構成する要素でサプリメントなどから摂取できますが、食事では動物性のたんぱく質を積極的に食べるといいと思います。できれば1日3回の食事すべてで取り入れることで疲労回復が進み、練習の継続が可能になります。

大切なのは、いろいろなたんぱく源から摂って欲しいということです。例えば朝に焼き魚を食べたら、昼は肉にして、夜に再度、魚を食べるといった形が望ましいと言えるでしょう。肉も鶏や豚、牛などに分けてバランスよく摂るといいと思います。効率の面で動物性たんぱく質が優れていますが、植物性である納豆や豆腐なども効果的なことは間違いありませんので、積極的に食べてください。

また走り込むことで発汗が進み、ミネラル分が失われます。鉄分やカルシウムなどの補給も忘れないでください。「勝ち飯®」では乳製品や汁物を食事に取り入れることが基本ですが、これらを補う意味でもこの2つを意識的に摂るといいでしょう。

こうしたことを踏まえて私がお勧めしたいメニューは「レバニラ炒め定食」です。走り込みの時期は発汗により、ミネラル分が失われ貧血の症状が出る場合がありますが、レバーには鉄分が多く含まれていますし、たんぱく質も豊富です。また味付けも少し濃いので、ご飯が進み、糖質もとりやすくなります。

すべての食事で言えることではありますが、練習で使うものを事前にしっかり食べておく。そして失ったものや体の状態を回復させるものを練習後にしっかり食事で補うという考え方を持ってください。走り込み期で言えばエネルギー源となる糖質。そして失われるミネラル分と疲労回復のためのたんぱく質が基本となります。私も現役時代は合宿先のビュッフェで鶏肉と牛肉を一緒に摂ったり、ご飯に加えてパンを足したりなど意識していました。ポイントを抑えた食事をすることで、走り込み期でも体調を崩すことなく練習が継続できるようになるはずです。

PART2はこちら


走り込みの時期におすすめのレシピ

いわし缶炊き込み「ほんだし」おにぎり

https://park.ajinomoto.co.jp/recipe/card/709308/
一緒に炊き込むことで、糖質・たんぱく質・野菜が一緒に摂れます。

味つけは「こんぶだし」だけ お手軽お茶漬け

https://park.ajinomoto.co.jp/recipe/card/707512/
食欲がないときは、お茶漬け! こんぶだしのうまみで食欲UP

たっぷり野菜のコンソメスープ

https://park.ajinomoto.co.jp/recipe/card/706796/
具だくさんで栄養満点! 野菜がたっぷり摂れる汁物


「勝ち飯®」とは?

味の素株式会社は2003年に日本代表選手およびその候補選手を対象とした国際競技力向上およびメダル獲得数増の為のコンディショニングサポート活動、「ビクトリープロジェクト®」をスタートさせました。その長期に渡るサポート活動の知見とスポーツ栄養学の裏付けにより誕生したのが、アスリートの栄養環境を改善するための栄養プログラム「勝ち飯®」です。「何を食べるか」ではなく、「何のために食べるか」を考えることを推奨しています。
https://www.ajinomoto.co.jp/sports/kachimeshi/


  • 監修:柴田隆一

管理栄養士。2008年北京五輪に競泳日本代表選手として200mバタフライに出場。現役引退後は母校・日本大学のコーチングスタッフとして指導。2015年には管理栄養士の資格を取得し、スポーツにおける食の大切さを、自らの経験を加味して、多くのアスリートやジュニアアスリート・親へのセミナーを行う。




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