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バランスのよい食事でフルマラソンを完走できるカラダづくり(PART1)

2021年9月14日


味の素株式会社がアスリートの栄養環境を改善するために開発した栄養プログラム「勝ち飯®」。その考え方を理解し、実践することで市民ランナーの走力アップにも大きくつながります。アスリート時代に「勝ち飯®」と出会い、現在は管理栄養士としてこのプログラムを推進している柴田隆一さんに、フルマラソンを完走するためのからだ作りの「勝ち飯®」についてお話をうかがいました。


まずは「5つの要素」を意識しよう

フルマラソンを走り切るにはどんなに速い人でも2時間以上、完走を目指すランナーであれば、さらに時間がかかり、5時間、6時間と走り続けなければなりません。それだけ長い時間、体を動かしても倒れない、壊れない体であることが大前提ですので、まずは健康で丈夫な体を作るところから始めて欲しいと思います。そのためには1日3回の食事をしっかり食べ、必要な栄養素をとることが重要です。もちろん食事であれば何でもいいというわけではなく、バランスの整ったものでなければなりません。

ではバランスのとれた食事とはどんなものでしょうか?「勝ち飯®」では主食、汁物、主菜、副菜、乳製品の「5つの要素」に果物をプラスしたものを「バランスのとれた食事」と考えています。


バランスのとれた食事の例
バランスのとれた食事の例

主食では体を動かすもととなるエネルギーとして糖類を取ります。ごはんやパン、麺類などが主なメニューになるでしょう。汁物ではだしのうまみ成分であるアミノ酸は消化吸収を助けますし、主菜、乳製品でからだ作りの基本材料であるたんぱく質やカルシウムを肉や魚、大豆製品、牛乳などから取ります。そして糖をエネルギーに変えると同時に体の調子を整えるためにはビタミンB群、ミネラル、食物繊維が必要なので、副菜では色の濃い野菜なども欠かせません。そのうえで果物で糖やビタミンを補います。

これらの栄養が足りない状態で走ると体調を崩したり、ケガをしたりなど、レース以前に練習の段階で体が壊れてしまい、フルマラソンのスタートラインに立つことすらできないでしょう。丈夫で健康な体を作るうえで、まずは「5つの要素」を意識してください。

中でも不足しがちなのがカルシウムです。完走を確実なものにするために皆さんにはぜひ積極的に取って欲しい栄養素です。ランナーは走ることで骨へのダメージも大きいため、不足すると疲労骨折などのトラブルを起こしやすくなります。これらは牛乳やチーズなどの乳製品で取ることが可能です。また長時間、体を動かすためには血液中で酸素を体中に運ばなくてはなりません。この役割を担うのがヘモグロビンであり、それは鉄分でできています。足りないと貧血が起こりやすくなります。女性だけでなく男性でもランナーは要注意です。


朝食やランチもひと工夫してバランスよく

とはいえ1日3回の食事すべてでバランスよく食べることが難しい方も多いかと思います。その場合のポイントの一つ目は複数の栄養素が取れるメニューを選ぶといいでしょう。例えば朝食は食パンのトーストではなくサンドイッチにすると、パンの糖に加え、ハムのたんぱく質、チーズでカルシウムを取ることができます。これで主食、主菜、乳製品が取れるのです。

ランチではラーメンや丼物などひとつの品目になりがちな方は、定食にするのが理想ではありますが、それが難しい場合は丼にサラダ、豚汁を加えると栄養のバランスは整いやすくなります。
夕飯も外食ではどうしてもたんぱく質の多いメニューになりがちですが、意識して野菜炒めなどを入れるといいでしょう。自宅での食事の場合でもコンビニやスーパーのお惣菜をうまく取り入れながら、「5つの要素」を取るように心がけるといいと思います。

フルマラソンの完走を目指すのであればまず食事を見直し、必要な栄養を上手に取るための習慣づくりから始めてください。健康で丈夫な体がつくれてこそ、練習も継続できますし、本番のレースでも力を発揮しやすくなるはずです。


フルマラソンを完走できるカラダづくりにおすすめのレシピ

炊飯器で作る肉炒飯

https://park.ajinomoto.co.jp/recipe/card/801128/
鍋いらず。お肉も一緒にとれるよくばり主食です。

さば味噌レンジ蒸し

https://park.ajinomoto.co.jp/recipe/card/708774/
サバ缶を使って、簡単おかず。野菜も摂れて栄養バランスもグッド!

ブロッコリーとエリンギのからしじょうゆあえ

https://park.ajinomoto.co.jp/recipe/card/701771/
レンジでパッと、味付けも簡単おかずです。


「勝ち飯®」とは?

味の素株式会社は2003年に日本代表選手およびその候補選手を対象とした国際競技力向上およびメダル獲得数増の為のコンディショニングサポート活動、「ビクトリープロジェクト®」をスタートさせました。その長期に渡るサポート活動の知見とスポーツ栄養学の裏付けにより誕生したのが、アスリートの栄養環境を改善するための栄養プログラム「勝ち飯®」です。「何を食べるか」ではなく、「何のために食べるか」を考えることを推奨しています。
https://www.ajinomoto.co.jp/sports/kachimeshi/


  • 監修:柴田隆一

管理栄養士。2008年北京五輪に競泳日本代表選手として200mバタフライに出場。現役引退後は母校・日本大学のコーチングスタッフとして指導。2015年には管理栄養士の資格を取得し、スポーツにおける食の大切さを、自らの経験を加味して、多くのアスリートやジュニアアスリート・親へのセミナーを行う。




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