ランナーの質問箱「朝ラン時の朝食はいつ食べる？」

――朝食を食べてすぐ走ると、身体はどうなるのでしょうか？

「ランニングで筋肉を動かすことにより、全身の血流が主に筋肉に集中し、内臓への血流は少なくなります。朝食後すぐに走ると、本来消化のために働く胃腸への必要な血流が十分に届かず、腹痛や下痢を起こしたり、気分が悪くなってしまうなど消化不良を起こしやすくなります。
朝食後に走るのであれば、理想は食後2時間ほど経ってから走るのがおすすめです。とはいっても、時間のない朝はなかなか難しいですよね。食後すぐに走る場合は、消化吸収が早く、すぐにエネルギーになるもの（例えば塩むすびや梅干しおにぎり、雑炊、バナナヨーグルト等）をチョイスするようにするとよいでしょう。」※唐揚げおにぎりや海老マヨおにぎりはNG

――空腹状態のまま走っても問題ないですか？

「前日の夕食をとってから起床するまでに絶食状態が10時間くらい続いています。体内のグリコーゲンはほぼ枯渇し、エネルギーが不足しているので筋肉が分解されやすく、体温も下がっていることから、さらに力が出なかったり、うまく走れないなど、トレーニングに悪影響が出る可能性はあります。せっかく朝練習の時間を確保しても十分にトレーニングできないのではもったいないですよね。30分程度の軽いジョギングなら走る前に水を飲むだけでも問題ありませんが、ペースを上げて走ったり、1時間以上走る場合は、エネルギー源となり、筋肉のタンパク質の分解を防ぐためにも、事前に消化吸収の早い炭水化物（糖質）・たんぱく質（アミノ酸）を食べましょう。エネルギーゼリーやバナナと合わせてBCAAのサプリメントをセットで摂取するのがおすすめです。また30分程度の運動でも起床時に空腹感を強く感じているようなら、同様に摂取してから走るようにしましょう」

――朝ラン後には何を食べるのがよいですか？

「ランニングで使った栄養素を補給するのがポイントです。炭水化物とたんぱく質をセットでとり、それらの代謝に必要なビタミン類やミネラルもとりたいですね。理想は朝定食やホテルなどで出てくる朝食メニューですが、時間がないときは、とにかく炭水化物とたんぱく質をしっかりとることを優先に、卵かけごはんや納豆ごはん（卵かけ納豆ごはんでも！）、ハムチーズトーストやトースト＋ゆで卵でも十分です。余力があればサラダや果物をプラスすることを考えてください」

――朝食をとらずに走り、お昼まで何も食べないのはNGですか？

「エネルギー不足により筋肉のタンパク質の分解がより促進されてしまうため、疲れがとれにくいばかりかケガや体調不良の原因にもつながります。さらに朝食をとらずに走ったうえに欠食した状態が続くと、筋肉のタンパク質の分解がさらに促進され、筋肉量が低下します。筋肉量の低下は基礎代謝を低下させてしまい、長期的にみると体脂肪率も下がりにくい太りやすい身体になる、ともいえるのです。
また、エネルギー不足の状態で昼食をとることで、血糖値が一気に上昇して脂質も取り込みやすくなるなど、昼食の吸収率が高まり、朝食を食べていないことで、同じものを食べても太りやすい食事に変わってしまいます。
朝食（炭水化物とたんぱく質がそろっているもの）には体内時計をリセットする効果や、筋肉のタンパク質の合成を促すスイッチを入れる役割があります。体内時計が整うことで身体の機能が本来もっている力を引き出し、消化吸収も効率よく行われるので、その結果走りのパフォーマンスが上がったり、練習の効果もより引き出しやすくなります。せっかく朝起きて走ったのですから、トレーニングの効果を引き出すためにも、疲労を素早く回復させて次の練習に備えるためにも“炭水化物”と“たんぱく質”のそろった朝食を目標に食べるようにしましょう」