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フルマラソンの理想はネガティブスプリット!? ペース戦略を科学で検証!①

2023年12月01日

※本記事は『ランナーズ2024年2月号』掲載内容になります。

後半にペースアップして世界記録保持者となったケルヴィン・キブタム選手 ©Bank of America Chicago Marathon/Kevin Morris.
後半にペースアップして世界記録保持者となったケルヴィン・キブタム選手 ©Bank of America Chicago Marathon/Kevin Morris.

9月以降、全国各地でフルマラソンが開催されています。出走した皆さんは、トラブルなく終えられましたか? どんなに練習を積んでも、万全の準備をしても、レースではなぜかトラブルが起こってしまうもの。本特集では、多くのランナーが経験するレースでの3つの「困った」を取り上げ、コーチや専門家が対策を指南します。「困った」を抱えている皆さん、今冬のレースに向けてぜひ参考にしてみてください。




この秋、フルマラソンの世界記録が男女ともに更新された。その時のペース配分はいずれも後半のほうが速い「ネガティブスプリット」だった(下グラフ参照)。では、フルマラソンで理想のペース配分は「後半型」なのだろうか? トップ選手と市民ランナーに違いはあるのか? 4人の専門家に話を聞いた。


話題のトップランナーは「後半型」

男女の世界記録と日本記録の5kmごと・30km以降のスプリットタイム推移グラフ
男女の世界記録と日本記録の5kmごと・30km以降のスプリットタイム推移グラフ

ネガティブスプリットの正体は目標ペースの余裕度?

まずはペースについての統計的データから確認しよう。世界記録と日本記録のペースをグラフ化した。世界記録の男女、日本記録の男子が、後半ペースアップして樹立されている。最近の世界トップ選手は終盤のペースアップが驚くほど速い。現世界記録保持者のケルヴィン・キプタムは後半のハーフがなんと59分台。エリウド・キプチョゲが2018年に非公認で2時間を切った際にはペースメーカーが途中で交代する形式でイーブンペースを保っていたが、やはり最後にペースアップしている。
もう少し対象者を広げてみたのが下の表1だ。2000年以降に出された世界記録を分析すると、男子は8回のうち5回、女子も4回のうち3回が後半のほうが速いネガティブスプリット(赤字)となっている。日本記録は男子が6回のうち3回、女子は3回とも前半のほうが速いポジティブスプリットだ。
世界記録にネガティブスプリットが多いのは、記録更新を狙えるペースで途中までレースが進み、そのペースでも余裕のあるランナーがさらにスピードを上げた結果だろう。つまり、彼らは目標ペースに対してより力があったゆえに、ネガティブスプリットになったと考えられる。
桜美林大学の山本正彦教授は「世界記録がネガティブスプリットになっているのはあくまで『結果』。どんなレベルのランナーでも最大限力を発揮しようとしたら、イーブンペースで走るのが望ましいことに変わりはないと思います」


表1 フルマラソンの前半/後半のタイム
2000年以降の記録を掲載(後半が速い記録は差をマイナス表記)



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