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【マイトレーニング】日本一速い37歳理容師ランナー

2026年7月01日

※本記事は『ランナーズ2026年9月号』掲載内容になります。

昨年12月の福岡国際マラソンを走る前川さん
昨年12月の福岡国際マラソンを走る前川さん

マイトレーニング

走るために転職した理容師最速ランナー

週1ロング走、月間350kmでマラソン2時間24分
前川元気さん(東京・37歳)


マラソン2時間30分以内で走る市民ランナーを紹介する連載。今回は今年3月の東京マラソンで2時間24分3秒の自己ベストをマークした前川元気さん(東京・37歳)です。

取材・文/吉田誠一 写真/石田祥一



「業務中は姿勢を意識して腰痛を防ぐ 理容師の仕事とランニングを両立したい」

理容師の前川元気さん(37歳)は、今年3月の東京マラソンで2時間24分3秒の自己記録をマークした。
「理容室は週末も営業しているので、大会に出ている理容師ランナーは少ない。それもあって、僕が日本一速い理容師ではないかと思うんです」

前川さんは首都圏で10店舗の理容室を展開するC-SPIRITの社員で、HAIR SALON爽(世田谷区経堂)などで、1日10~15人のお客さんの髪を切るほか、各店舗を巡回して後輩への指導もする。

一人暮らしをする都内の自宅から最も遠い店舗への通勤は1時間以上かかり、帰宅は午後8時から9時半。練習は朝の1部練習が基本で、週5~6日行う。午前6時に起きて出勤前の練習に時間を割く。火曜か水曜日に8kmの閾値走をこなし、週末に30~42kmのロング走を行う。

「以前はポイント練習といえばインターバル走だと思い込んでいました。きつくてやった感もあるし、タイムも伸びていたので。3年ほどマラソンのベストタイムが更新できず、持久力が課題だと思い、1年前から閾値走の頻度を上げました」


仕事の休みは月に6日前後。大会に参加しやすくするために会社と交渉し、現在は毎週日曜日(プラス1~2日)に休めるシフトになっている。

「普段走れない分、休みの日曜日にレースに近い距離を1回で走るようにしています。平日に練習で疲労をためると仕事に影響が出てしまうので、同じ月間走行距離でも質を高めることを意識しています」

筋トレやストレッチ、マッサージなど身体のケアには時間を取っていないが、業務時間では姿勢を整えることを心掛ける。「立ち仕事なので、髪を切るとき以外は重心が偏らないように意識しています。姿勢を崩しやすい職業で、腰痛を訴える人もいるので気をつけています」


中学で陸上部、高校は帰宅部 卒業後は理容師の道に進む

新潟県上越市出身の前川さんは父親の影響で野球少年だった。長距離走は得意で、校内大会では1位。中学では丸刈りを強制される野球部を敬遠し、陸上部で1500m(5分10秒)、3000m(10分50秒)を走ったが、県大会にも進めず、悔しい思いを重ねた。高校時代は厳しく感じた部活動を避け、帰宅部。理容師・美容師を養成する専門学校(埼玉)で2年間、学び、理容師の道に進んだ。

「走ることは好きだったので、高校でも就職後も週に1度は軽く走っていました」。平日開催のナイトマラソンなどに出るようになり、10kmを37分で走った。知り合いに「サブスリーもいけるのでは」と言われ、28歳だった18年に静岡マラソンに挑んだ。

それに先立ち、週末の大会により出場したいという想いから、勤務時間に融通の利く現在の会社に転職した。静岡の初フルは2時間50分が出るペースで前半飛ばしたが、後半の急失速で3時間18分24秒に終わった。

この反省をもとにロング走に力を入れると、同年の湘南国際で2時間47分51秒が出た。21年の金沢で初サブ2.5の2時間28分27秒を記録。その後23年の東京で2時間24分41秒をマークしたが、記録が停滞。今回、閾値走の導入で自己ベスト更新のキッカケをつくった。

「2時間20~21分台までいけるかなという感覚はあるけれど、そのためには同レベルのランナーがこなす月間500~600kmが必要かもしれない。仕事に影響の出ないラインを探りながら、練習量か質を上げて、記録にチャレンジしていきたい」


1週間のメニュー例

月・木 レスト
火・水 【朝】13kmジョグ(キロ5分~4分)または8km閾値走(キロ3分15秒~20秒)
※火または水曜日のどちらかにポイント練習を実施
【朝】13kmジョグ(キロ5分~4分)
【朝】10kmジョグ(キロ5分~4分)
30~42km走(単独の場合はキロ平均4分30秒、練習会参加の場合はキロ3分30秒~40秒)

① 仕事優先で練習量を調整 月間距離は300~350km

立ち仕事の理容師業務に支障がないように月間走行距離は300~350kmに抑える。練習量が少ない分、平日の閾値走や週末のロング走で練習強度を上げてカバーする。疲労をためないように週1~2日をレスト、ポイント練習以外の日は13kmジョグ。ペースはキロ5分で入って4分前後まで上げて質を高める。朝練習の1部練が基本だが、火、水曜日は2部練をして距離を稼ぐことも。


② レース後半の失速防止 毎週30~42kmのロング走

2018年の初マラソンで、後半失速したことを踏まえてロング走を重視する。夏場も含め1年を通して日曜日に30~42kmのロング走をこなす。単独の場合は平均キロ4分30秒で35km前後、河川敷を走ることが多い。練習会では、キロ3分30~40秒の30km走に参加する。秋冬には練習の一環でマラソンに参加することも。距離への不安がなくなり、30km過ぎに粘れるようになった。


③ スピード持久力を養う 週1回の8km閾値走

火、水曜日のどちらかに土の400mトラックで8kmの閾値走を行う。キロ3分15~20秒が基本で、自宅からトラックまでの往復10kmジョグと合わせて18km走る。以前は1000m(キロ3分5~10秒)×5本、400m(72~74秒)×10本のインターバル走を軸にしていたが、記録が停滞。マラソンペースで押す力を養うため、1年前から閾値走を取り入れ、3年ぶりに自己記録を更新した。



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