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【マイトレーニング】インターバル走はせず、ジョグと流しのみ

2025年11月01日

※本記事は『ランナーズ2026年1月号』掲載内容になります。

24年福岡国際マラソンを走る一花さん(写真中央)
24 年福岡国際マラソンを走る一花さん(写真中央)

マイトレーニング

低酸素トレッドミル走でフルマラソン2時間18分台

一花 建さん(石川・35歳)
フルマラソンを2時間30分以内で走る市民ランナーを紹介する連載。
今回は10月の金沢マラソンで2時間18分54秒をマークした一花 建さん(石川・35歳)です。

取材・文/吉田誠一 写真/ 石田祥一


「レースがあるのは当たり前ではない。震災を機に練習を妥協しなくなった」

中学校では野球部に所属していたが、助っ人として駅伝に出場すると、3年時に全国中学駅伝の舞台にまで進んだ。星稜高校(石川)では陸上部を選択。チームは2度、全校高校駅伝に出場したが、一花さんに出走機会はなかった。

高校時代の5000mベストは15分22秒。「自分に向いているのはもっと長い距離」と考えた。帝京大学では箱根駅伝を目指す駅伝競走部ではなく、陸上競技部に入部した。「大学では自由に走りたかった。早くマラソンに挑戦したかった」

大学時代は、2010年能登和倉万葉の里マラソン(厳しい冷え込みの中で2時間31分43秒)に始まり、卒業間近の13年びわ湖毎日(3週連続のフルの一本で2時間23分23秒)まで7本のフルマラソンを経験した。卒業後は故郷の旅館に就職。当初は練習量が月間200kmに半減したが、仕事に慣れた入社3年目に学生時代とほぼ同じ月間400kmに戻した。

15年の第1回金沢マラソンで優勝。19年の神戸は2時間18分17秒。「乗りに乗った状態で、これからどんどん記録を出すぞ」と思っていた最中に新型コロナウイルスの感染症が広がり、大会がなくなった。

そのコロナ禍の21年から地元の七尾中学校陸上部で週5日、長距離の指導を続ける。中には佐久長聖高校を経て順天堂大学で箱根駅伝を目指す教え子もいる。記録会で教え子と顔を合わせることもある。「みんな、陸上を嫌いにならずに続けてくれているのがうれしい」


平日は朝4時に起床して練習

現在は繊維業界で働く。平日は午前4時に起き、2時間をジョグと流しと補強運動に充てる。七尾市の自宅から車で30分の通勤。午前8時から午後5時まで働き、6時から七尾中学で指導。8時から1時間、自分の練習を行い、10 時に就寝する。

日曜日は部活動がオフなので、金沢の市民ランナーが集う練習会に参加することもある。今年の金沢マラソン前の9、10月は毎週のように40km走(キロ4分30秒~4分)を重ねた。

以前は高強度のインターバル、レペティショントレーニングなどに取り組んでいたが、いまはトラック練習をしない。「試行錯誤の結果、自宅を発着点とするロードのジョグ+流し+補強運動だけのスタイルに落ち着いた。キロ3分ペースまでならこの練習で十分だと思っている」

22~23年は学生への指導に力を入れたこともあり、練習量が減った。転機は24年1月1日の能登半島地震だという。ライフラインが止まり、親戚の家に避難するなど日常を奪われた。「悲惨な光景を目の当たりにして、当たり前だと思っていたことが当たり前ではなくなった」

内面が変化し、「次のレースが最後になるかもしれないと思うようになった。普段の練習に対して妥協しなくなった」

その結果、24年の福岡国際で2時間19分11秒、今年10月の金沢で6年前の自己記録に迫る2時間18分54秒を記録した。

気持ちの問題とは別に、好記録の要因を昨年から通い始めた金沢市の低酸素ジムの効果と捉えている。福岡国際の前は体調を崩していたにもかかわらず、「まさかの2時間20分切り」ができた。「低酸素トレーニングをはじめてから、レース後半も乳酸がたまる感覚がなく、身体も動く。ペースの落ち込み幅も小さくなった」。今年10月の5000mでは自己記録を20秒更新する14分36秒24を出した。

そこで得た自信から、歯切れよく「記録は伸ばせます」と話す。「2時間17分台、あわよくば16分台を」と目論んでいる。


1週間のメニュー例

月・火・水・金・土 【朝】10~20kmジョグ(キロ5分~4分30秒)+流し
【夜】10kmジョグ(キロ5分~4分30秒)+流し
【朝】10~20kmジョグ(キロ5分~4分30秒)+流し
【夜】低酸素ジムでのトレッドミル走(80~90分)
※標高2500mの酸素濃度・時速13km・斜度2%に設定
【午前】30~40km走(4分30秒~4分)+流し、
または低酸素ジムでのトレッドミル走(80~90分)
※標高2500mの酸素濃度・時速13km・斜度2%に設定
【夜】10kmジョグ(キロ5分~4分30秒)+流し

※基本は二部練習だが、都合により一部練習になることもある


①スピード走はゼロ 休みなしで毎日2部練習

基本は朝夜の2部練習。月間走行距離は500~600km。インターバル走などの高強度の練習は一切せず、坂が多いロードコースでのキロ5分~4分30秒のジョグに徹する。自宅周辺を走るのは練習直後に食事をとることを重視するから(練習30分以内の栄養補給
が疲労回復に効果的といわれている)。


②朝夜のジョグの後流しと補強運動

朝夜のジョグの後、流しと補強運動を毎回行う。流しは、キロ3分~2分55秒の感覚で100~200mを3本走る。補強運動は自重のみで背筋、腹筋、臀筋群の筋トレを合計5~10分。マラソンのキロ3分15秒前後のペースなら、レースペースの練習をしなくても問題ないと考えている。


③低酸素ルームでの90分前後のトレッドミル走

心肺機能向上のため、個室式の低酸素ルームのトレッドミルで80~90分間走る。設定はトレッドミルの斜度2%、時速13km、室内の酸素濃度は標高2500m。平地よりも酸素が2割以上薄い環境を走ることでレース後半で苦しくなっても身体が動くようになり、失速することが少なくなった。



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