※本記事は『ランナーズ2026年8月号』掲載内容になります。
24年東京マラソンを走る榎本さん(写真左)
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榎本大修さん(東京・34歳)
マラソン2時間30分以内で走る市民ランナーを紹介する連載。今回は今年3月の東京マラソンで
2時間15分37秒の自己ベストをマークした榎本大修さん(東京・34歳)です。
文/吉田誠一 写真/ 軍記ひろし
「日本一速い消防士」と推定される東京消防庁に勤務する榎本大修さん(34歳)は24年の東京マラソンで2時間20分58秒、25年に2時間17分45秒、今年は2時間15分37秒と着実に自己記録を更新している。
仕事が24時間勤務で不規則なことと、6歳と3歳の子どもがいる家庭環境のため、練習は夜勤明けを除き、早朝に1人でこなす。午前4時半前の起床で、軽いストレッチ後、近隣を走る。ロードを走るのはポイント練習だけで、あとは脚の負担を考慮して芝地、クロカンコースとスポーツジムのトレッドミルで走る。通勤に時間を要するため、6時半には練習を終え、プロテインとバナナ、おにぎりなどをとって家を出る。
夜は家族との時間とし、走らず一部練習にとどめる。「妻の深い理解なしに、いまの自分はない」。感謝を込め、週に1度、「妻のフリータイム」を設けることをマイルールにしている。
練習ではジャック・ダニエルズの理論と昨年の本誌8月号で紹介したノルウェー方式を練習に落とし込み、走行距離のアップと中強度の閾値走主体の練習で成果を挙げてきた。「昨年は1日で2回、中強度のポイント練習をこなす二重閾値走を4〜5回試したが、翌日の疲労感が強くて自分には合っていないと感じた。いまは2日連続で閾値ペースの練習をこなすなど、自分でアレンジして結果が出ている。以前は月間走行距離が300km程度だったが、現在は約500km走る。いまのほうが疲労耐性が向上し、ポイント練習の回数を増やしても疲れない。レース終盤もペースが維持できるようになった」
榎本さんは天草高校(熊本)で陸上競技を始め、3000m障害で南九州大会に出場した。進学した上武大学では故障を繰り返し、「走るマネージャーを目指してみないか」という花田勝彦監督(現早稲田大学監督)の励ましに応え、3年時に学生コーチ、4年時は主務を務めた。
主務時代には1度ずつ走った5000m、1万m、ハーフマラソンで自己ベストを更新し、大田原、びわ湖毎日でフルマラソンを経験。「マネージャー業務に追われて時間がない中、練習を組み立てたあの経験がいまに生きている」と花田監督に感謝する。就職後、陸上から離れたが、「走らない生活が続き体重は10kg以上増加。体型の変化をキッカケに、再び走ろうと思った」。入庁1年目の後半に東京消防庁陸上部に入った。とはいえ、部の活動は東日本実業団駅伝、全国消防本部対抗駅伝を目指す冬期が中心で、それ以外は個人で月間100kmほどジョギングをするだけだった。
マラソンを本気で目指す分岐点は21年の東京オリンピックだという。6位入賞した同年生まれの大迫傑選手の果敢な走りに大いに刺激を受けた。「感動して、自分もどこまで記録を伸ばせるかに挑戦したくなった」。30歳という年齢を考えると「競技レベルで走れる時間は限られている」という思いもあった。当面の目標を2時間13分台とし、故郷熊本の熊本城マラソンの表彰台、25年に2位だった富士山マラソン優勝を目指す。
いずれは曾宮道さんが持つ2時間16分15秒のマスターズM40(40~44 歳)日本記録(※)の更新を思い描く。「そのためには、いまはできるだけ記録を伸ばして、数年後のために貯金をつくっておきたい」。M45の記録更新も含めて、長期的な挑戦の計画を組み立てている。
※今年の東京マラソンで田中真人さん(43歳)が2時間15分7秒を記録したが、マスターズ未登録のため記録認定されていない
| 通常期(3~11月) | |
| 月 | 15kmビルドアップ走(キロ4分30秒~3分20秒) |
| 火 | 2km×5~7本(6分30秒~6分40秒)または 400m×20~25本(74秒) |
| 水 | 10~16kmジョグ(キロ5分前後) |
| 木 | 10~16kmジョグ(キロ5分前後) |
| 金 | 坂ダッシュ160m×10本(全力・間5分)または1km×5~7本(2分55秒・間3分) |
| 土 | 25km(キロ4分30秒前後) |
| 日 | 10~14km(キロ5分前後) |
| マラソン期(12~2月) | |
| 月 | 2km×5~7本(6分20秒)または 21km変化走(2kmを6分20秒、1kmを3分50秒で7回繰り返す) |
| 火 | 14~20km(キロ5分前後) |
| 水 | 14~20km(キロ5分前後) |
| 木 | 5km×2本(15分15秒)+5kmビルドアップ走(キロ4分~3分20秒) |
| 金 | 10~16kmジョグ(キロ5分前後) |
| 土 | 35~40km走(キロ4分または3分30秒)※コースによってペースを調整 |
| 日 | 10~14km(キロ5分前後) |
※シフトによって実施日や内容を調整
12月~2月のマラソン期とそれ以外で期分けし、勤務日程に応じて高強度のインターバル走、中強度の閾値走、ロング走、ジョグを組み合わせる。1年前から閾値走の割合を増やし、2km(6分30秒~40秒)×5~7本を基本に、400m(74秒)×25本、15kmビルドアップ走(キロ4分30秒~3分20秒)を実施。冬期、夏場は天候次第で、ジムのトレッドミルを利用することも多い。
3年前から月間走行距離を300kmから500kmに増やしたことが記録更新につながる。距離増加で脚筋力が向上し、疲労耐性が高まり、ポイント練習後のダメージが軽減。練習の質も高まり、レースではイーブンペースを維持できるようになった。12月以降は東京マラソンに向けて毎週、35~40km走を実施する。キロ4分で走る芝地、キロ3分30秒で走るロードコースを使い分ける(ラスト5kmペースアップ)。
昨年から4~5月は160mの上り坂で坂ダッシュを10本。全力で走り、間は5分に設定。6月以降は1km(2分55秒)×5~7本のインターバル走。通常の間は3分、レース直前は1分に縮めてレースを想定した負荷をかける。マラソン期は陸上部の練習で5km(15分15秒)×2本のほか、主に2km(6分20秒)+1km(3分50秒)を7セットの変化走など。マラソンペースを意識した練習を行う。
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