※本記事は『ランナーズ2026年4月号』掲載内容になります。
福岡国際マラソンは2023年から3年連続で出場している
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佐川雄一さん(福島・42歳)
マラソン2時間30分以内で走る市民ランナーを紹介する連載。
今回はエアロバイクを活用して昨年の別府大分を2時間29分8秒で走った佐川雄一さん(福島・42歳)です。
取材・文/吉田誠一 写真/ 石田祥一
2021年春、福島県いわき市で整骨院を営む佐川雄一さん(42歳)は、「寝たきり」の生活を強いられていた。「最初はギックリ腰のような症状だったのが、だんだんひどくなって歩行も困難になった。自宅の玄関にも上がれず、2週間は車のトランクで寝て病院に通った。仕事も1カ月ほど休んだ」
2019年の東京マラソンを2時間36分44秒で走った佐川さんは、腰椎ヘルニアを患い、21年5月に手術を受けた。それから2年弱、39歳だった23年1月の勝田で初めて2時間30分を切る2時間29分45秒をマークした。「ヘルニアがキッカケで練習にメリハリをつけたから進化できたのだと思う」
佐川さんがランニングを始めたのは33歳の時。野球部員だった中学時代は駅伝の県大会に出るほどの走力があったが、本番はオーバーペースでつぶれたことがトラウマになり、それ以降は走ることから遠ざかった。しかし、整骨院の患者さんに誘われて17年2月のいわきサンシャインマラソンに出場すると、3時間28分57秒で完走。「次はサブスリーができるんじゃないか」と言われ、練習に本腰を入れ始めた。
平日はキロ4分20秒で15km、日曜日は毎週30~35kmを走るようになり、同年10月の水戸黄門漫遊では2時間51分54秒を出した。その後もタイムを縮めたが、やがて走れなくなった。
佐川さんがヘルニアに苦しんだ時期はコロナ禍と重なる。「整骨院の経営状況がどん底で、大会もなくなってしまった。だからこそ大会が再開されたらヘルニアからの復活という成功体験をして、人生を変えたかった」別府大分マラソンのカテゴリー1(2時間30分以内)を目指し、回復の道筋を探った。東京の病院に転院して手術を受け、翌日からエアロバイクを漕ぎ始めた。
「手術後は2カ月ほど走れなかったが、バイクは漕げた。だから毎日のようにバイクでインターバルをやっていた」佐川さんは18年に事業拡大として整骨院に酸素ルームを導入した。トレッドミルが中に入らなかったためエアロバイクで代用していたが、その環境を自身の復活にも役立てた。「バイクは心肺を強化できて、脚へのダメージが残らない。効率的にパフォーマンスを維持・向上できる」
手術後はバイクトレーニングを週の前半に限定し、ランニングも強弱をつけるようにした。その結果、22年水戸は2時間36分49秒で完走し、その3カ月後に2時間30分を切った。
平日は午前7時過ぎに起き、勤務は9時から午後7~8時まで。疲労回復のため、昼休みは酸素ルームを高酸素モードにして横になる。4時過ぎに夕食を済ませて8時からバイク。10時から屋外で走る。「バイクは心拍が上がるので、その後に走ると脂肪燃焼効果が高まる。整骨院のオーナーなので時間の融通が利く」
練習終了は0時を回ることもあり、1時~2時に寝る。月間走行距離は400~500km。走ることと仕事に追われる毎日だが、整骨院の経営は改善した。「高価なので覚悟が必要だったが、酸素ルームを導入したこと で患者さんが増えた」
25年の別府大分では2時間29分8秒と、41歳で自己ベストをさらに更新した。当面の目標は2時間25 ~26分。「5000mを常に15分30秒で走れる身体をつくってマラソン練習にシフトすれば可能だと思う」。3月に70歳になる父の功さんがいまだサッカーを続けている姿を見てきたこともあり、「僕もできる限り、走り続けたい」。
| 走練習 | |
| 月 | 【22時~】12~13kmジョグ(キロ5分~5分30秒) |
| 火 | 【22時~】12~13kmジョグ(キロ5分~5分30秒) |
| 水 | 【18時~】400m(70秒)×10本リカバリー70~90秒 |
| 木 | 【20時~】15~16kmジョグ(キロ5分~5分30秒) |
| 金 | 【20時~】15~16kmテンポ走(キロ4分~4分20秒) |
| 土 | 【午前】ロング走20~30km(キロ5分30秒) |
| 日 | 【午前】5km×5~6本(キロ3分30秒) |
| バイクトレーニング | |
| 月 | 【20時~】ゆっくりペダリング60分(ケイデンス70~80rpm) |
| 火 | 【20時~】(20秒全力ペダリング+10秒レスト)×10ペダリング60分(ケイデンス90~100rpm) |
| 水 | 【12時~】ゆっくりペダリング60分(ケイデンス70~80rpm) |
| 木 | |
| 金 | |
| 土 | |
| 日 |
月火水はエアロバイクを漕いで心肺機能を強化。ペダリングだとアキレス腱やハムストリングスに疲労が溜まりにくいため、心肺(バイク)と脚力(ランニング)の負荷を切り離して考えている。整骨院の酸素ルーム内を低酸素環境にして行っており、慣れると心拍数が上昇しづらくなるという。
屋外のポイント練習は週2回。水曜日は陸上競技場で「3000mから5000mが速くなるようなメニュー」を実施。2000m+1000mや3000m+2000m+1000mに変えることも。日曜日は距離を重視し、往復4.2kmのコースをキロ3分50秒→3分30秒で繰り返す20~30kmの変化走なども行う。
夏場が苦手なため、「記録を狙うのは12月から3月の大会とし、春はスピードを磨き、夏はポイント練習を一切せずに距離を踏む」。9月からレースに向けて準備を始め、12月の福岡国際と2月の別府大分を目指すのが近年のパターン。秋や春先はトラックレースに出場することも。
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