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“走る民族” ララムリ(通称:タラウマラ族)来日 名古屋ウィメンズで2時間48分25秒!①

2026年4月01日

※本記事は『ランナーズ2026年6月号』掲載内容になります。

名古屋ウィメンズを走るフアナさん
名古屋ウィメンズを走るフアナさん
写真/小野口健太、軍記ひろし
取材・文/峯澤美絵

3月8日に開催された名古屋ウィメンズマラソン。色鮮やかな刺繡のスカートで快走するのは、現地の言葉で「走る民族」という意味をもつメキシコ・チワワ州の先住民族「ララムリ」(通称:タラウマラ族)のランナー、フアナ・ラミレス・エルナンデスさん。
ララムリの名は2009年に全米でベストセラーとなった『BORN TO RUN走るために生まれた ウルトラランナーVS人類最強の“走る民族”』で広く知られるようになった。同書の中で「山岳地帯で暮らす彼らにとって、長い距離を走り、水汲み、畑仕事、ヤギの世話などのために移動することは『生きることそのもの』」なのだと、描かれている。どのような暮らしをし、どのように走っているのか、フアナさんにインタビューした。


ララムリの美徳は忍耐、協調性、献身、粘り強さ、そして走ることを愛すること

書籍『BORN TO RUN走るために生まれた』の内容から、ララムリ※がどんな民族であるかを紹介する。
※同書によると、本来の名称は “ララムリ” でタラウマラ族は通り名。


隔絶された環境で暮らし独自の生活文化を育む

全米20万人の走りを変えたといわれた書籍『BORN TO RUN』は、記者でランナーでもある著者が、「どうして私の足は走ると痛むのか」、その答えを探す物語だ。
著者はメキシコ出張の際に見た旅行雑誌で、メキシコに〝走る民族〞と呼ばれる人たちがいることを知る。そして彼らの驚異的な走力に魅了され、その秘密を探る旅へと踏み出す。その民族がララムリで、通称「タラウマラ族」と言われている。
物語の舞台は、メキシコ北西部の渓谷地帯、コッパーキャニオン。ララムリは険しい地形の中で外界から隔絶された環境で暮らし、何世代にもわたって独自の生活文化を育んでいる。

ではなぜ、ララムリは驚異的な走りができるのか。それにはいくつもの理由がある。ひとつは、走ることは生活の一部だからだ。山岳地帯で暮らす彼らにとって、長い距離を走り、水汲み、畑仕事、ヤギの世話などのために移動することは生きることそのもので、自然と走力と持久力が培われていく。


何百年も前から続く夜通し走り続ける “遊び”

彼らにとって走ることには生活以外にも大きな意味がある。
ララムリには何百年も前から続く “ララジパリ” という遊びがある。3〜8人で構成された2チームが、長い道のりを木のボールを蹴って夜通し走り続けて競うのだ。遊びといってもかなり過酷で、距離にして100km近くにも及ぶこともある。スーパースターが一人いても勝てない。チームの仲間、夜通し走るためにピノーレという、とうもろこしの粥で応援してくれる友人や家族、松明で道を照らしてくれる村人など多くの人の協力がなければできないことを、彼らは知っている。ララジパリを耐え抜くには忍耐、協調性、献身、粘り強さ、そして走ることを愛するという、ララムリのすべての美徳を備えていなければならない。

走るスタイルも独特だ。古タイヤに穴を空けて革ひもを通したワラーチというサンダルで走る。裸足に近い感覚で走れるため、人間に本来備わっている自然な着地やフォームになり、故障が少ないとも記されている。食生活は彼らのスタミナの下支えとなっている。とうもろこしや豆を中心とし、栄養価が高くエネルギー源として最適だ。走ることは生活、文化と結びついた営みであり、そこに仲間とのつながりや喜びがあることが描かれている。走ることは生きることそのもので、彼らは文字通り、「走るために生まれた」民なのだ。ララムリの脅威の走りの秘密に迫った本書は2009年、全米でベストセラーとなり、翌年には日本で翻訳本が発売された。

日本ではワラーチやはだしランが話題となり、自然の中で仲間と楽しむことを走ることの価値のひとつとして考えさせられた。日本や他国での山岳レースやウルトラマラソンにララムリが招待され、さらに多くのランナーに知られる存在となったのはこの書籍によるところが大きい。


『BORN TO RUN 走るために生まれた ウルトラランナー VS 人類最強の“走る民族”』[著]クリストファー・マクドゥーガル [訳]近藤隆文 NHK出版
『BORN TO RUN 走るために生まれた ウルトラランナー VS 人類最強の “走る民族”』
[著]クリストファー・マクドゥーガル [訳]近藤隆文 NHK出版




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